「便所飯」という言葉が巷で噂されている。最初は何のことかわからなかったが、「トイレで一人で食事をすること」を言うらしく、若い人たちの間で話題になっているという。なぜそんな変なことをするかという、若者間では「友達がいない」と思われるのが嫌で、また「ひとりで食事をする」のを見られるのが嫌なので、便所で食事をするという。今ネット上ではそういう奴がいるいないで大変らしい。
自分もそうだったから、その気持ちはわかる。ただ便所で食事をしようとは思わない。私の場合、学生時代は人が来ない時間帯に学食で食事をしていたように思う。働くようになってからは別にひとりでも気にならないようになった。何故なら販売職でテナントの中のショップだったので、同じ会社の人間は居らず、特に周りの目を気にすることは(それでもテナントの人に見られるのは嫌だった)なかった。
工場に着たての頃は、精神を病み昼食をとること自体面倒くさく、食事も1日1食だった。今思えば栄養がいかないのだから頭がおかしくなるのも当然かと思う。今の職場では車通勤で、回りに食べるところがない。大概の人は弁当持参で工場内にある食堂に行く。食堂に行かない人は自分の車で食事をしている。これも一種の「便所飯」かもしれないが、食堂での席はおばさん連中の暗黙の了解で席が決められており、その柵が嫌で自分の車で食べる人が多い。
人目を気にする若者、友達がいないことを恥ずかしいと思う気持ち、だったら友達を作ればいいと思うのだが、自分もそうだったからわかるのだが、こういう人たちってそれがなかなかできないしとても難しい。豊かな時代は心の問題が問われてくるが、若い人のコミュニケーション能力が低下している。それでも見栄を張りたがるのが人の性、豊かになることで人間の持つこころの力が弱くなった。これも時代の宿命かもしれない。
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