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五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

渡利を救え

 東北新幹線で福島に向かう時、福島駅の手前、阿武隈川の鉄橋を渡る直前、進行方向右手に小さな山が見えてくる。弁天山と名づけられた標高142メートルのこの山の麓には幹線道路である国道4号線が走る。かつては配水池や浄水場があり、福島市の水がめとも言われてきた。この弁天山から東に数キロメートル行くと写真家の秋山庄太郎が「福島に桃源郷あり」と絶賛した花見山がある。春になると桜のみならず、梅・木蓮・桃・ボケ・レンギョウ・椿といった木々が一斉に花を咲き誇る。その様はまさに「百花繚乱」と言える。阿武隈川を渡り、これら2つの山に挟まれた風光明美な一帯が渡利地区で、福島市の市街地に近いこともあって、長閑な住宅街になっている。

f:id:Kitajskaya:20140913161811j:plain 花見山への散策路

f:id:Kitajskaya:20140913162006j:plain弁天山から福島市街を望む

 福島にいた頃、私はこの渡利地区に住んでいた。渡利は福島市の中心街にも近く、市役所の支社や銀行、コンビニ、郵便局、病院、スーパーがほぼ自宅から徒歩5分の距離にあり、また前述した弁天山は住んでいたアパートの目の前にあり、春は桜、秋には紅葉と気持ちを和ませてくれた。ここは冬の寒さを除いては、住むのには快適な場所だった。2人の子供は地区の渡利小学校に入学した。娘は3年間、息子は1年間、渡利小学校で学校生活を送ったが、特に娘は幼稚園時代からの友達が結構いたこともあって、忘れがたい思い出のある3年間だったと思う。息子のほうも、今はもう閉鎖されている、自閉症の子を支援していく施設に通っていたが、そこで指導がなければ、今は言葉に問題があるが、何とか世間並の水準、普通の子供になることは叶わなかったかもしれない。そういった意味で、福島市渡利は、私たち家族にとっては思い入れがあるところである。

f:id:Kitajskaya:20140920223142j:plain    渡利小学校

 渡利地区が原発事故で危機に瀕している。10月17日のテレビ朝日系「報道ステーション」で渡利地区の現状が報道された。渡利地区は福島原発から60キロ以上も離れているが、高い放射線量を記録している。にも係わらず、避難より放射能の除染を優先するべきだと特定避難勧奨地点の指定が見送られた。しかし渡利地区の除染について検証した神戸大学大学院山内教授によると除染の効果はあがっておらず、逆に放射線量が上昇した地点も見つかったという。これは弁天山などの山林に蓄積された放射性物質が雨が降るごとに流出し、土壌に蓄積されていく。山内教授は除染はもっと広範囲で実施されなければ効果はなく、現時点で放射線濃度が高い地域で住民を住まわせるべきではないと警告されている。

 除染の効果がないのであれば、避難をするのが当然だと思う。住民の健康を損ない、赤字を垂れ流すだけである。これは渡利地区の住民のみならず、他の地域の福島市民も不幸にする。しかし、行政当局はあくまでも除染を最優先との考えを改めるつもりはない。また特定避難勧奨地点の南相馬市伊達町では、幼児や妊婦には特別の配慮するように国に要望しているが、福島市にはその動きはない。福島市瀬戸市長はいったい何を考えているのだろう。そういえば原発事故以後、瀬戸市長の影が薄い。佐藤雄平福島県知事のように原発の安全性を無視しておいて、実際深刻な事故が起きた時、今までの自分の事は棚に挙げ、文句を並べる御仁は辟易だが、存在感が希薄なのもこれまた問題である。瀬戸市長は渡利地区住民、6600世帯、16000人のことを真剣に考えてほしい。

 特定避難勧奨地点に渡利地区を指定することに国が抵抗するのは、財政面で国庫が厳しいことや県都である福島市の一部が消失する危惧もあるだろう。しかしすでに危険は迫っているのだ。瀬戸市長も渡利地区の住民への説明を自らで行い、そこで自らの考えや方針を主張すべきだ。そうでなければ敵前逃亡とのみなされても仕方がない。全住民が避難する事は困難なら子供や妊婦は一刻も早く避難させることだ。猶予はない。放射線量に問題がなければ福島市西部、国道13号線フルーツライン沿線あたりに仮校舎を建てて、そこに小・中学校の児童を通わせることだって可能なはずである。西部工業団地だって土地はまだ余っているのではないだろうか?

 かつて住んでいたところが危機に瀕していて何もできない自分が腹立たしい。この日記を書くにあたり、渡利地区の現状を少しでも多くの人に見て、考えてもらいたかった。今回に未曾有の大惨事については、大地震が発生した時にどういう訳か、原子炉を冷却する装置の電源を切ったため、原子炉が冷却できず暴走し、大津波が来て電源そのものが消失したことが原因だという。実は原発事故はほぼ人災であり、事故を収拾に向かわせるべき能力や技能もない菅直人や枝野といった政府関係者が、事を更に悪化させたという。もしこれが事実としたら由々しきことだある。事故調査委員会を中立的な第三者機関で設立し、徹底的に究明し、責任者を断罪し、損害賠償させる。間違いを犯した者、取り返しのつかない事をした者、所謂、犯罪者が見過ごされることが決してあってはならない。

 参考までに、2011年10月8日に渡利小学校で行われた住民説明会の画像がありましたので貼っておきます。


【10月8日】渡利地区住民説明会ダイジェスト版 - YouTube

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