先月スカパーのチャンネルNECOで、日活映画100選というのをやっていた。映画コレクトを趣味としているので、さっそく日活の古い作品をブルーレイに録画した。その中で吉永小百合と浜田光男の共演の名作と言われたもの、「キューポラのある街」「潮騒」を観賞した。若き日の吉永はさすがに可憐で清楚だった。当時のそれこそ大御所である丹羽文雄や石坂洋次郎といった大作家が寵愛したのも頷ける。
吉永がデビューを果たした映画「キューポラのある街」、名前は知っていたのだが、その内容は詳しくは知らなかった。実はこの映画はヒロインの成長を描くともに、伏線では在日朝鮮人の北朝鮮への帰還事業を肯定的に描いている、政治色の強い作品であった。更には3年後の1965年には続編も作られ、それはヒロイン役の吉永が日本に残った日本人妻を説得し、北朝鮮に帰還させるという、今考えれば驚くべき内容だった。
誤った情報を流した朝日新聞をはじめとするマスメディアに洗脳され、北朝鮮が「地上の楽園」だと喧伝されていた当時の状況を知らなかったため、映画の関係者を攻めることはできぬが、情報が開示され、北朝鮮に渡った日本人妻の艱難辛苦が次第に明らかになった。そうしたことをいみじくも‘北朝鮮礼賛’の旗振り役とされてしまった今の吉永が知らぬ筈はあるまい。共同脚本した今村昌平は「出鱈目を書いていた」と反省していたとウィキペディアに載っていたが、肝心の吉永はどうなのだろうか?是非とも吉永の心境を聞いてみたい。
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