今年のノーベル賞、物理学賞に青色発光ダイオード(LED)を開発した日本人3人が選ばれた。日本人の受賞は2012年の医学生理学賞以来2年ぶりで、日本人のノーベル賞受賞者数は今回を含めて22人(アメリカ国籍を含む)となった。
日本の叡智ともいうべき22人、彼らを輩出した出身校、研究機関は一体どこだろう?興味と暇があったので調べてみた。(Wikipedia参照、出身校、研究機関は現在名)
受賞年度 | 名 | 部門 | 受賞理由 | 出身校 | 研究機関 |
1949年 | 湯川秀樹 | 物理学 | 中間子の存在を予想 | 京都大学 | 京都大学、大阪大学、東京大学、コロンビア大学 |
1965年 | 朝永振一郎 | 物理学 | 量子電気力学分野での基礎的研究 | 京都大学 | 京都大学、理化学研究所、筑波大学 |
1968年 | 川端康成 | 文学 | 日本人の心情の本質を描いた、非常に繊細な表現による叙述の卓越さ | 東京大学 | |
1973年 | 江崎玲於奈 | 物理学 | 半導体におけるトンネル効果の実験的発見 | 東京大学 | IBM |
1974年 | 佐藤栄作 | 平和 | 非核三原則の提唱 | 東京大学 | |
1981年 | 福井謙一 | 化学 |
化学反応過程の理論的研究 |
京都大学 | 京都大学 |
1987年 | 利根川進 | 医学生理学 | 多様な抗体を生成する遺伝的原理の解明 | 京都大学、カルフォルニア大学 | 京都大学、カルフォルニア大学、MIT、理化学研究所 |
1994年 | 大江健三郎 | 文学 |
詩的な言語を用いて現実と神話の混交する世界を創造し、窮地にある現代人の姿を、見る者を当惑させるような絵図に描いた功績 |
東京大学 | |
2000年 | 白川英樹 | 化学 | 導電性高分子の発見と発展 | 東京工業大学 | 東京工業大学、ペンシルベニア大学、筑波大学 |
2001年 | 野依良治 | 化学 |
キラル触媒による不斉反応の研究 |
京都大学 | 京都大学、名古屋大学、ハーバード大学、理化学研究所 |
2002年 | 小柴昌俊 | 物理学 | 天体物理学、特に宇宙ニュートリノの検出に対するパイオニア的貢献 | 東京大学 | 東京大学、東海大学 |
2002年 | 田中耕一 | 化学 | 生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発 | 東北大学 | 島津製作所 |
2008年 | 南部陽一郎 | 物理学 | 素粒子物理学における自発的対称性の破れの発見 | 東京大学 | 大阪市立大学、シカゴ大学、大阪大学 |
2008年 | 小林誠 | 物理学 | 小林・益川理論とCP対称性の破れの起源の発見による素粒子物理学への貢献 | 名古屋大学 | 京都大学、高エネルギー物理学研究所 |
2008年 | 益川敏英 | 物理学 | 名古屋大学 | 名古屋大学、京都大学、東京大学、京都産業大学 | |
2008年 | 下村脩 | 化学 | 緑色蛍光タンパク質 (GFP) の発見と生命科学への貢献 | 長崎大学 | 長崎大学、名古屋大学、プリンストン大学、ボストン大学 |
2010年 | 鈴木章 | 化学 | クロスカップリングの開発 | 北海道大学 | 北海道大学、バデュー大学、岡山理科大学、倉敷芸術科学大学 |
2010年 | 根岸英一 | 化学 |
クロスカップリングの開発 |
東京大学、ペンシルベニア大学 | シラキュース大学、バデュー大学 |
2012年 | 山中伸弥 | 医学生理学 |
様々な細胞に成長できる能力を持つiPS細胞の作製 |
神戸大学、大阪市立大学 | カルフォルニア大学、大阪市立大学、奈良先端科学技術大学院、京都大学 |
2014年 | 天野浩 | 物理学 |
高輝度で省電力の白色光源を可能にした青色発光ダイオードの発明 |
名古屋大学 | |
2014年 | 赤崎勇 | 物理学 |
高輝度で省電力の白色光源を可能にした青色発光ダイオードの発明 |
京都大学、名古屋大学 | |
2014年 | 中村修二 | 物理学 | 徳島大学 |
この表を見ると、東京大学、京都大学がともに9名と日本の最高学府に恥じぬ実績を上げている(重複を含む)。しかし21世紀になってからは、名古屋大学関係者が躍進し、受賞者の約半数(13人中6人)を占めている。(この原稿を書いている時に奇しくも私の愛読紙(?)である「日刊ゲンダイ」も同じ内容の記事を出していた。この件について実に詳細に書かれてあったので、「2014年10月13日付ノーベル賞ラッシュの名古屋大学」より参照しました。)これは京都大学5名、東京大学4名を凌ぐ快挙である。私学の雄、早慶はノーベル賞受賞者の出身校及び研究機関になっていない。ノーベル賞大国のアメリカでは私学が優勢である。お国柄の違いとはいえ、ちょっと残念なことである。
名古屋大学は旧帝大の中で最も歴史が浅く、また国から貰う補助金も東大や京大と比較して半分以下だという。そのため、名古屋大学は産学連携の共同研究を活発に行っている。また名古屋大学のある東海地区は「モノ作り」が昔から盛んな地域であり、トヨタの改善活動に代表される、職場内で自発的に品質管理活動を行う「QCサークル」の組織率も全国で最も高い。ノーベル賞候補を頻出する土壌があったのだろう。
ちなみに今回受賞者された天野浩さんは静岡県浜松市の県立浜松西高出身者である。静岡県の関係者が受賞したことは、一県民としてはうれしい限りである。
過去の記事からです。
写真:無料写真素材 写真AC 名古屋城 Pたろたろ