この間まで暑い、暑いと言っていたのが、最近では朝晩が随分と冷え込むようになった。月日が経つのも早いもので、もう11月、あと1月ちょっとで2014年も終わる。歳を重ねると月日が経つのが短く感じられるようになる。何かの本で読んだが、11歳の子供の1年が1/11であるのなら、50歳のおっさんの1年は1/50、1/11>1/50、だから歳をとればとるほど1年が短くなる。言われてみればそうだ。あと何年かしたら還暦を迎える。あまり充実した人生を送っていないが、それでも世間から後ろ指を指されることなく、また餓えることがなかったことは幸せだったと思う。
夜寒という言葉がある。晩秋のころ、ひとしお夜の寒さが感じられることで、また、その寒さを言う。ちょうど今頃の寒さを指す。またこの言葉は俳句の季語でもあり、昔から多くの俳人たちが季語に使ってきた。代表的な句を挙げてみると、
病鳫の夜さむに落ちて旅ね哉 松尾芭蕉
欠け欠けて月もなくなる夜寒かな 与謝蕪村
咬牙する人に目覚めて夜寒かな 小林一茶
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る 中村汀女
咳き入りて身のぬくもりし夜寒かな 日野草城
人知れず夜寒の襟をたゞしけり 久保田万太郎
咳ひとつ赤子のしたる夜寒かな 芥川龍之介
この言葉を知ったのは、大学生の頃で、フジテレビで22時54分頃から放映されていた「四季の詞」という番組からだった。1つの季語についてナレーターのトークで始まり、その季語を使った俳句を朗読するものだった。夜寒が語られたのも、ちょうど今頃だったと思う。どのような俳句だったかは定かではないが、寒くなった夕暮れの帰り道を詠んだ句だったと記憶している。その句がBGMと絶妙にマッチし、言い知れぬ寂寥感を感じたことが強烈に印象に残っている。
「四季の詞」は単行本になって発売されおり、20年くらい前に購入した。久しぶりに読もうと思い探してみた。手元にあると思っていたが、見つからなかった。どうやら静岡に引越しの際、荷物を減らすため、たくさんあった本は実家に送ったようだ。
この本を書かれた俳人の川崎展宏さんは2009年に亡くなられたようだ。朴訥とした語り口が好きだったに残念である。
以前福島に住んでいたが、この時期、タイヤをスタッドレスに変える。タイヤを交換したぐらいに初雪になる。今時分、福島も夜はかなり冷えこんでいるのだろうなあ。
追伸:過去の記事も載せました。
写真:無料写真素材 写真AC 夜道 街灯 とびうお