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五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

冬の星座

 大寒も過ぎ、いよいよ寒さが厳しくなってきた。ここ藤枝市も年末の異常な寒さは和らいだとはいえ、朝晩はそれ相応に冷え込む。早出の時は、毎朝車のフロントガラスの霜取りは日課になっている。もうすぐ立春、「冬来たりなば、春遠からじ」の言葉の通り、暖かい春はもうすぐだ。

 この時期を歌った唱歌に「冬の星座」という歌がある。寒くなって空気が澄んだ冬は一年中でもっとも星空が美しく見られる。日暮れが早くなった東の空に大きなオリオン座が現れ、オリオン座を囲むようにおうし座ふたご座こいぬ座おおいぬ座の赤や黄色、それに青色の明るい星々が夜空を彩る。さらに上方に行くとプレアデス星団(すばる)が青白い妖しい光で私たちを魅了する。先人たちは夜空に輝く美しい星々を人や動物に見立て、美しくも悲しい物語を語り伝えてきた。


文部省唱歌 冬の星座 - YouTube

  冬の夜空の輝く美しい星々を歌った「冬の星座」、この曲が歌われるようになったのは戦後で、堀内敬三氏が作詞し、1947年に中学校の音楽の教科書に掲載された。堀内敬三氏は浅田飴の御曹司で慶應義塾大学の応援歌「若き血」(校歌より有名らしい)の作詞・作曲で知られている。格調高い文語体で書かれた歌詞、日本の曲だと思われがちだが、実はこの曲、1871年にアメリカのウィリアム・ヘイスによって作詞・作曲された「愛しのモーリー」(Mollie Darling)が原曲である。私がこの事実を知ったのは社会人になってからで、テレビで日本でも著名なカントリーシンガーがこの曲をギターを弾きながら英語で歌っているのを見てからだ。よく聞いてみると、この曲のメロディはどことなくカントリー・ウエスタン調なので、なるほどと納得をしたものだった。

 「冬の星座」の歌詞は堀内氏が新たに作詞したもので、ヘイスの詞の翻訳ではない。「冬の星座」以前にも、歌人で国文学者の中村秋香が1919年に作詞した「他郷の月」が「愛しのモーリー」のメロディーを使用し、小学唱歌として歌わていた。ただ戦後になって「冬の星座」が歌われ出すと、歌われなくなってしまった。

 ヘイスの詞、中村秋香の詞、堀内氏の詞を比較してみる。

 まず、ヘイスの詞だが、自分なりに意訳してみた。

愛しのモーリー 詞:ウィリアム・ヘイス 意訳:Kitajskaya

Won't you tell me, Mollie darling,
That you love none else but me?
For I love you, Mollie darling,
You are all the world to me.
O! tell me, darling, that you love me,
Put your little hand in mine,
Take my heart, sweet Mollie darling,
Say that you will give me thine.

 

僕だけを愛してると言ってくれ

愛しのモーリー

君だけがこの世のすべてさ

愛しのモーリー

愛してるって言ってくれ

君の可愛らしい手を握り

僕のすべてを受け止めておくれ

愛しのモーリー

すべてを僕に捧げておくれよ

 

Mollie, fairest, sweetest, dearest,
Look up, darling, tell me this;
Do you love me, Mollie darling?
Let your answer be a kiss.

 

この世で最もすてきなハニー、モーリー

顔をあげ、言っておくれよ

僕を愛しておくれよ

そしてキスしておくれ

 

Stars are smiling, Mollie darling,
Thro' the mystic vail of night;
They seem laughing, Mollie darling,
While fair Luna hides her light;
O! no one listens but the flowers,
While they hang their heads in shame.
They are modest, Mollie darling,
When they hear me call your name.

 

満天の星は僕たちのために輝く

愛しのモーリー

夜の張は僕たちの愛のために下るよ

愛しのモーリー

月の光が消え、花のほかは誰も聞いてやしないよ

恥ずかしげにうなだれてみせる

愛しのモーリー

僕が君の名を呼ぶときには

 

Mollie, fairest, sweetest, dearest,
Look up, darling, tell me this;
Do you love me, Mollie darling?
Let your answer be a kiss.

 

この世で最もすてきなハニー、モーリー

顔をあげ、言っておくれよ

僕を愛しておくれよ

そしてキスしておくれ

 

I must leave you, Mollie darling,
Tho' the parting gives me pain;
When the stars shine, Mollie darling,
I will meet you here again.
O! goodnight, Mollie, goodbye, loved one,
Happy may you ever be,
When you're dreaming, Mollie darling,
Don't forget to dream of me.

 

もうお別れだよ

愛しのモーリー

お別れするのはとてもつらいけど

また星が夜空に輝くとき

愛しのモーリー

またここで会おう

おやすみ、愛しのモーリー

さよなら、愛してるよ

いつまでも幸せでいてくれよ

愛しのモーリー

夢の中でも、僕のことを忘れないでおくれ

 

Mollie, fairest, sweetest, dearest,
Look up, darling, tell me this;
Do you love me, Mollie darling?
Let your answer be a kiss.

 

この世で最もすてきなハニー、モーリー

顔をあげ、言っておくれよ

僕を愛しておくれよ

そしてキスしておくれ

  ちょっと、オーバーに訳してみたが、どうやらこの曲は若者たちの逢瀬を歌ったベタなラブソングのように思える。ただ星座がほとんど出てこない。しいて言えば、3番の歌詞に星が出てくる程度である。


Frank Coombs "Molly Darling" (or "Mollie Darling ...

 次に中村秋香の詞について見てみる。

 よくと悦ぶ 父母の君

 あれ姉上と かけ来る妹

 こひしや我が家に うれしや今

 かへると見しは 夢なりけり

 

 宵のしぐれは あとなく晴れて

 傾く月に 雁なき渡る

 あはれあの雁も またわがごと

 わかれや来つる その故郷(ふるさと)

   故郷を離れ、遠くに嫁いだ女性の心情を吐露した歌詞なのだろうか?どことなく郷愁を感じる作品である。「他郷」とは「故郷ではないよその土地」を意味する。

 最後に堀内氏の「冬の星座」を見てみる。

 木枯らしとだえて  さゆる空より
 地上に降りしく  奇(くす)しき光よ
 ものみないこえる  しじまの中に
 きらめき揺れつつ  星座はめぐる
  

 ほのぼの明かりて  流るる銀河
 オリオン舞い立ち  スバルはさざめく
 無窮(むきゅう)をゆびさす  北斗の針と
 きらめき揺れつつ  星座はめぐる

  先にも述べたが、格調高い文語体で書かれた抒情的な秀悦な作品だと思う。凍てつく寒さの中で見る美しい星空の情景がパノラマのように思い浮かばれる。1番の歌詞に‘ものみないこえる’とあるが、最初は何を言っているのかさっぱりわからなかった。調べていくと、これは‘もの皆憩える’、すべてのものがやすむという意味だそうだ。また2番の歌詞‘無窮をゆびさす 北斗の針と’は壮大な宇宙のロマンを感じさせる。

 堀内氏がベタなラブソングである「愛しのモーリー」にどうしてこのような格調高い詞を付けたのかは、調査不足かもしれないが、NETを隈なく探しても出てこなかった。しかし美しい日本語で書かれたこの曲は、これからも珠玉の唱歌として歌い継がれていくことだろう。

 「冬の星座」は2007年に日本の歌百選の1曲に選ばれている。

f:id:Kitajskaya:20150301154409j:plain

 

 参照:Wikipediaより「冬の星座(文部省唱歌)」「堀内敬三

    Web「池田小百合なっとく童謡・唱歌」

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    フリー画像 満天の星空               より       

 唱歌については「早春賦」も気に入っています。よろしかったらこちらの記事もご覧ください。ただ一部過激な発言もしていますので、不愉快な思いをされる方がいらっしゃいましたら、申し訳ございません。

立春に思う、春は名のみの風の寒さや…、 - 五つの池の喫茶店

 追伸:この記事は昨年の12月14日に草案を考えて、やっと本日書き上げることができた。1つの記事を書くのに1月以上かかるなんて、気まぐれな性格とはいえ恥ずかしいなあ・・・。

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