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五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

日本“駅そば”考

  早いもので2015年も残り僅かになってきました。今年は我が家にとってはお金に苦しむ年となりましたが、それ以外は問題もなく家族全員が平穏に暮らしていけたんじゃないかと思います。来年2016年も今年のように平穏に過ごせたらいいのですが、娘の高校進学もありまたお金に苦しむ1年になりそうです。

午後のまりやーじゅ

 先週は仕事の関係で遅出出勤。大体昼の1時から2時くらいに出かけていきます。職場までは車で約1時間半くらい。そんな長丁場の車内で常に時報代わりにラジオを聞き流していますが、遅出の時は必ずと言っていいほど(国会中継やスポーツなどの実況がたまに入りますが・・・)、NHKラジオ第一放送で「午後のまりやーじゅ」という番組を聞いています。司会の山田まりやさんと各曜日ごとの個性的なパーソナリティとNHKのベテランアナウンサーの道谷眞平さんが絶妙なトークが売りのこの番組、中には否定的なリスナーもいるようですが、私は結構楽しんで聴いています。

www.nhk.or.jp

 この番組は金曜日を除き、午後の2時くらいから毎回様々な分野で活躍されたり、注目を集めているゲストを招き、いろいろな話を聞くコーナーがあるのですが、今週の水曜日のゲストは私にとって興味深い方でした。気になるその人は、駅構内や駅から数分のセルフサービス主体の「駅そば」を長年にわたり調査しているフリーライター鈴木弘毅さん。鈴木さんは子供の頃、お父さんと出かけた時のごちそうが“そば”、それも駅のそばにある「そば」だったそうです。釣りが趣味だった小学校時代には西武池袋線大泉学園駅の立ち食いそばでニンニク入りの「スタミナそば」を食べていたそうです。以来「駅そば」に目覚め、今では訪れた店舗が2200軒、何と1万杯以上食したとのこと。これは「駅そば」を知ってからほぼ1日1回は「駅そば」を食べている計算になります。すごいですねえ!?

 鈴木さんが本格的に「駅そば」を研究しようと思ったきっかけは、阪神淡路大震災のボランティアで関西に行かれた際、兵庫県の姫路駅で食べた一品でした。注文して出てきたものは、和風だしのそばつゆの中に入っていたのが、そばでもうどんでもなく“中華麺”というもの。今までの「駅そば」の概念を根本から覆すほど衝撃的だったようで、それ以来全国各地の「駅そば」を調査するようになったそうです。

駅そばとは?

 そばは中国が起源の植物と考えられており、今のような麺状になったのは16世紀頃、信州の本山宿が発祥の地だと謂われています。そば屋という営業形態ができたのは室町時代後期から江戸時代の初期で、記録によると万延元年(1860年)には江戸だけでも3800もの店が軒を並べていました。

 一般的に知られている「駅そば」の起源は、1893年の信越本線の横川・軽井沢間の開通に伴い、急勾配の碓氷峠を挟んだ両駅での機関車の取り付け作業に伴う停車時間の合間に利用客の小腹を満たすために駅でそばの立ち売りが始まったことだとされています。他にも北海道の長万部駅や森駅だとする説もあり、実際のところはわかっていません。

 ところで「駅そば」とは何でしょうか?言葉をそのままとらえると「駅にあるそば屋」となるところでしょうが、「駅そば」評論家である鈴木さんは独自の基準を持っており、それは以下のものです。

①駅構内または駅周辺に(徒歩5分以内)に立地していること
②価格を安く設定していること
③セルフサービスの造りであること
④出来上がりまでの時間が早いこと(5分以内)
⑤レギュラーメニューとしてそば(うどん)を扱っていること                                                                 全国駅そば名店100選より引用

 こうした独自の基準を定めて、鈴木さんは全国の「駅そば」を取材していくわけですが、取材費節約のために寝袋持参したり、移動には夜行列車や深夜バスを利用しできるだけ宿泊しないようにしているそうです。また1日5軒以上の「駅そば」を食べ歩いたこともあるようで、いくら好きだからといえ、その並々ならぬ探究心には頭の下がる思いがします。

全国の「駅そば」を探訪してわかったこととは?

  「駅そば」を探究するため、日々全国行脚する鈴木さん、これまで訪れた店舗は2200軒、調べるにつれ新たな発見があり、ますます「駅そば」の魅了されています。

1.ところ変われば「駅そば」も変わる。

 「駅そば」は個人の事業主が営業権を得てスタートしたため、地域性やその店の個性の違いが多くみられます。また最近では「駅そば」店舗のチェーン化が促進されていますが、チェーン化された店舗でも店によってやメニューやつゆ、トッピングに違いがあるそうです。同じチェーン店でもひとつ先の駅ではメニューが違うということ往々にしてあるようで、これは個性があるのが当たり前の「駅そば」」界においては、企業の統一戦略が機能できず、店舗ごとの個性を採用せざる得なくなったと考えられています。

2.駅のホームで運営する「駅そば」が減っている。

 一昔前までは「駅そば」はホームで食べるのが当たり前でしたが、最近では乗り換え時間の短縮やダイヤの変更などで列車を待つ時間が短縮されたり、また列車の本数そのものが減少したため、ホームから店舗が姿を消しているそうです。近年では「駅そば」の店舗はコンコースや待合室に設置されています。この傾向が特に著しいのが東北地方で今やホームで「駅そば」を食べれるのは岩手県一ノ関駅のみで、時代の変遷とはいえ寂しいものを感じます。

3.白ネギと青ネギの境界は?

 そばやうどんの薬味に欠かせないネギ。通常は東日本では白ネギ、西日本では青ネギを使われています。ネギの原産地は白ネギ、青ネギとも中国の西部から中央アジアにかけた一帯とされており、中国では寒冷な気候の華北や東北地方では白い部分が多い「太ねぎ」、温暖な気候の華南や華中では緑の部分が多い「葉ねぎ」が栽培されていましたた。ネギが日本に伝来したのは、5世紀くらいの飛鳥時代とされています。それがやがて寒冷な気候の東日本には「太ねぎ」が、温暖な気候の西日本に「葉ねぎ」が多く栽培されるようになったそうです。

 白ネギと青ネギの境界は関ヶ原あたりとされているようですが、「駅そば」に関して言えば、この境界線とかなり異なり、東海道本線熱海駅までが白ネギを使い、丹那トンネルを抜けた三島駅からは青ネギに替わってしまうようです。日本海側に目を向けるとその境界は、福井県と石川県の県境にあたるようです。

4.つゆ・出汁の違い、境界線は?

 関東と関西、東京と大阪ではそばつゆが異なることは、普段からそばを食べない人でも知っています。そもそもそばやうどんのつゆを、関東では「そばつゆ」、関西では「うどんだし」という言い方をします。一般的には関東のつゆは色が濃く、関西のつゆは薄く、又、出汁も関東では鰹出汁が、関西では昆布出汁が主流となっています。

 先ほどのネギ同様に、つゆ・出汁の境界はどこなのか?鈴木さんはこの疑問に答えるため、一駅ごとに列車を下車し、しらみつぶしに「駅そば」を食したとのこと・・・。何とも凄まじい執念ですね!

 その結果、東海道本線では関ヶ原を境に東西に分かれるそうです。また関西本線方面では愛知県と三重県の県境がそうで、面白いのは日本海側。北陸本線では富山駅が境界線となり、富山駅構内にはには関東風と関西風のつゆ・出汁の「駅そば」が存在しています。

 

 その他「駅そば」で扱われているメニューでも、関東と関西ではニュアンスが違うものが多々存在しており、「駅そば」の世界の奥深さに感動を覚えた次第です。

気になった「駅そば」

 今週の水曜日の放送を聴いて、「駅そば」に興味を抱いた私は鈴木さんが書かれた本をAmazonで早速購入しました。以下の2冊です。

全国駅そば名店100選 (新書y)

全国駅そば名店100選 (新書y)

 

 「全国駅そば名店100選」では、「駅そば」研究のエキスパートである鈴木さんが選んだ本当に美味しいお店・メニューを紹介しています。その中で私が気になったものをいくつか紹介したいと思います。お店に関しては「食べログ」のリンクを貼りました。実際に見たわけではなく、現物は写真でしかわかりませんが、そのメニューが持つインパクト(?)がよく伝わってきました。

1.北海道 JR宗谷本線音威子府駅 「常盤軒」     

tabelog.com

 音威子府駅がある音威子府村は人口がわずか750人足らず、北海道で最も人口が少ない自治体です。音威子府駅の利用客も1日120名、よくこんな環境で店が成り立つのが不思議なくらいですが、音威子府駅には常時駅員が勤務し、駅構内には常に旅人の姿があります。それもこの「常盤軒」の存在があるからです。

 この店の「駅そば」の特徴はまるでイカ墨でも混ぜたかのような真っ黒い色をした麺。麺が黒いのはそばを殻ごと挽いた全挽粉で打っている為だそうで、写真で見るだけでも強烈なインパクトがありますね!!

2.千葉県 JR常磐線我孫子駅 「弥生軒

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 この店の名物は「唐揚げそば」、テレビや情報雑誌で取り上げられており、今やすっかり我孫子駅の名物になっているようです。件の唐揚げは拳くらいあるようで、これを2個乗せると、麺やつゆが見えなくなるといいます。唐揚げだけテイクアウトできるようで、夕食の献立に買って帰る主婦の方もいるみたいです。

3.兵庫県 JR山陽本線・姫路駅 「えきそば」

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 「駅そば」評論家の鈴木さんが誕生したきっかけになったのが、この店の「駅そば」。「和風出汁の中に中華麺」という奇抜な発想となったのは、戦後の混乱期に小麦粉が手に入れにくい状況の中、「えきそば」の営業母体である「まねき食品」が蒟蒻粉とそば粉を混ぜて作った代用麺が原型とされています。その後試行錯誤を繰り返し、鹹水を使って中華麺に行き着きました。

 気になる食感ですが、当然私は食べたことがありませんが、鈴木さんによれば、中華麺といってもラーメンとは違い、弾力が弱く、どちらかといえばうどんに食感が近いそうです。

私と「駅そば」

  私が「駅そば」なるものを初めて食べたのは(実際にはうどんですが・・・)、高校3年生の時。受験で出かけた東京から大分の実家に帰る際、小倉駅日豊本線のプラットホームで食べた「かしわうどん」だったと思います。鉄道のない街に高校まで住んでいて、電車に乗るのも1年に1回か2回くらい、駅のホームに食べる処があるなんて露知らず、またここで食べたうどんがものすごく美味しくって、「こんな美味いものがあるなって、都会ってすごいなあ!?」と思いました。

 浪人生活を経て、東京の大学に進学しますが、東京に来て始めて「駅そば」を食べたのが何時何処だったかは忘れてしまいましたが、第一印象は最悪で、そばを普段から食べないこともあり、つゆの色と麺の食感に耐え切れず半分以上残し、パートのおばさんからえらく怒られた思い出があります。1年位経つと東京の味にすっかり慣れ、「駅そば」も普通に食べられるようになり、大学を卒業して社会人なると値段が手頃なこともあり「駅そば」をほぼ毎日利用するようになりました。

 当時よく通ったのが、JR三鷹駅「かいじ」京王線とJR武蔵野線の乗換駅だった分倍河原駅にあったお店(ここは名前を忘れてしまいましたが、「富士そば」だったように思います。)。三鷹の店では、当時としては珍しく関西風のあっさりとしたつゆが特徴でした。分倍河原駅の店は「コロッケそば」というものを初めて食べ、それ以来「コロッケそば」の魅力に嵌った思い出があります。どちらも今は存在していないようですが、できることなら今一度この両店の「駅そば」をもう一度食べてみたいです。

 仕事が販売職から生産職に代わり、勤務地も東京から静岡になってから「駅そば」にはご無沙汰になりました。ただ静岡から福島に転勤になり、管理職なったこともあり、出張で東京とか静岡に出かける機会が増えました。その際に新幹線の改札内にある「駅そば」を利用しました。それがこのお店です。

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 ここでは分倍河原駅ではまった「コロッケそば」をよく食べましたが、このお店の名物は「ラジウムそば」だそうです。私は残念ながら4年間福島に住んでいましたが、このメニューのことは知らず、ひたすら「コロッケそば」を食べていたのですね。今考えれば何とももったいないことをしたもので、もし今一度また福島に行く機会があればぜひ食べてみたいと思います。「ラジウムそば」は温泉玉子をそばの上に乗せたものです。「ラジウムそば」の由来は、東京帝国大学の医学生だった真鍋嘉一郎さんが、日本で初めて「ラジウム」の存在を福島市近郊の飯坂温泉で確認し、これを機に飯坂温泉で温泉玉子をラジウム玉子として売り出したのが始まりだそうです。

 新幹線で大分に帰省する際、小倉で乗り換えますが、たまに「駅そば」を食べることがあります。

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 このお店が、かつての私が美味しいと思ったお店だったかは定かでありませんが、「かしわうどん」はメニューにあり、食べてみると美味しいです。ただどこか微妙に味が違うような気がします。

最後に

  最後になりましたが、また脈絡もなく愚だ愚だと駄文を書いてしまいました。通勤は車を使っているし、また最寄りのJRの駅から離れていることもあり鉄道は滅多に使うことはありません。元々は鉄道に乗り当てどもなくぶらぶらするのが好きで、東京に住んでいた頃は、休みともなると朝早くから鉄道に乗り、どこか遠い街を訪ねたりしたものです。その際よく利用したのが「駅そば」、お金がない私にとって早くて安い「駅そば」の存在は非常に有り難いものでした。

 この記事を書くために、鈴木さんの著作や「駅そば」について書かれた本を何冊か読みました。「駅そば」を通してその土地に根付いた食文化を知ることができ、改めて日本人の食に関するこだわりの強さを実感することができました。また日本の各地の「駅そば」を具に見ることで、疑似的にではありますが、日本中を旅行する気分になりました。閑職になったこともあり、今では出張とかはありませんが、もし何らかの機会で鉄道を利用することがあれば、今回の記事で調べたことを念頭に「駅そば」をじっくりと味わってみたいと思います。

 

おまけの音楽

  「午後のまりやーじゅ」で鈴木さんを紹介する際に流れていた曲です。一度聴いたらこの曲が頭から離れなくなりました。水曜日のパーソナリティ“風見しんご”さん曰く、「フックン、どうしたんだあ!!」、私も同感です。

 ちなみにどういう訳か、突然ブログにYOU TUBEの動画を貼り付けることができなくなりました。これって私だけ?

 

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参照:駅そば読本 鈴木弘毅 交通新聞社

   全国駅そば名店100選 鈴木弘毅 洋泉社 

   東西「駅そば」探訪 和製ファストフードに見る日本の食文化 

                          鈴木弘毅 交通新聞社新書 

   ちょっとそばでも 大衆そば・立ち食いそばの系譜 坂崎仁紀 廣済堂出版

   日本経済新聞 2012年3月16日付 

             駅そば巡礼 旅情すする 鈴木弘毅

   日本経済新聞 2015年1月23日付 

             東西対決の境界は?白・青ねぎの分布の謎 小林明

   YOU TUBE 駅そば研究家 鈴木弘毅さん出演 安住紳一郎の日曜天国

   ふくしまの旅 -福島県観光情報サイト-

写真:無料写真AC イカ天そば choppist

                                  北アルプスとそばの花 himiko

 

お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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