五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

私の愛したウルトラセブン~その1

 10月も後半になり、ようやく蒸し暑い日もなくなり過ごしやすい季節になりました。ただ巷では季節外れのインフルエンザが流行しているようで、先月には首都圏で学級閉鎖が相次いだようです。これから寒くなるにつけますます猛威を振るうインフルエンザ、何でも今年はワクチンが不足するようなので今から子供が感染しないか心配です。

 さて今年の10月1日はウルトラセブンがテレビ放映されてから50年になります。昨年はウルトラマンが放映50年ということで記事にしましたが、実のところ私は大のウルトラ・シリーズのファン(厳密に言えば“帰ってきたウルトラマン”までですが)、今年もウルトラセブンについて記事を書いてみようと思います。特にウルトラセブンにはウルトラマン以上に思い入れが強いので、記事は何回かに分けて書いてみたいと思っています。

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ウルトラセブン誕生~最初は登場する予定はなかった?

 

 ウルトラセブン円谷プロの空想特撮シリーズ第3弾として企画されました。前作のウルトラマンは巨大な宇宙人がヒーローとなるという未だかつてない設定のために撮影が大幅に遅れ、撮影が本放送に間に合わなくなるという事態となり、テレビ放映の続行が不可能になり急遽終了しました。そうした状況を踏まえて、ウルトラマンを継承する形で制作が決定したウルトラセブンは、ウルトラマンの後番組である「キャプテン・ウルトラ」が放映中の半年間に制作体制が固められました。

 「敵は宇宙からの侵略者に統一する」、ドラマの方向性はこの形が示されました。しかし新たな路線を目指すために制作スタッフの間では試行錯誤が続きました。最初の企画案「ウルトラ警備隊」では、宇宙時代に活躍する地球防衛軍隊員たちと侵略者の戦いを描き、巨大変身ヒーローは登場しないという設定でした。その後、手を加えられた企画「ウルトラアイ」で、ウルトラ警備隊に主人公の「諸星弾」という少年が加わり、ウルトラ警備隊が危機にあると少年が巨大ヒーローに変身して侵略者と戦う内容に変更され、巨大変身ヒーローの名前も「ウルトラセブン」と正式に決定されました。

 ウルトラセブンのデザインはウルトラマンと同じ成田亨さんが担当しました。成田さんはウルトラセブンスーツアクター上西弘次さんが筋肉質な日本人体型だったため、ウルトラマン古谷敏さんのような長身でスマートなイメージが表現できなと判断し、ウルトラセブンはデザインの細かい部分を上半身に集中させて、視る人の視線を上半身に集中させることでウルトラセブンを演じる上西さんの体型を極力意識させないようにデザインを考案したそうです。

 ウルトラセブンは当初は全39話の予定で放映を開始しましたが、前番組「キャプテンウルトラ」で平均25.6%まで下落した視聴率を再び平均で30.7%台(26話まで)に回復させたことで乗せたことで、1968年3月末に10本の追加制作が決定しました。これはウルトラセブンウルトラマンよりも多様な能力を持った設定にしたことに加え、サンダーバードを意識して作られたと言われるウルトラ警備隊のメカ、ウルトラホーク機の斬新な発進シーンなどが視聴者受けをしたことがあげられます。

 しかし円谷プロでは前々作の「ウルトラQ」からの累積赤字が深刻化したため、着ぐるみや特撮セットの費用の経費削減が行われるようになります。このため怪獣や着ぐるみが必要な宇宙人が登場しない回も何回か制作されました。

 こうした事が、巨大変身ヒーローと怪獣との戦いをテレビで視たい児童層の視聴離れを招き、第36話の「必殺の0.1秒」(この回も宇宙人との派手な戦闘シーンはありませんでした)で視聴率16.8%を記録して以降、17%から23%の間を行き来する状況となり、ダンとアンヌの別れを描いた最終回の「史上最大の侵略(後編)」で視聴率は28.5%まで回復しましたが、視聴率が30%を超えることはありませんでした。それにしても昔は視聴率が凄かったんですね!?

 

ウルトラセブンのプロフィール

 

 ウルトラマンデータベースからの引用です。

 ウルトラセブンはM78星雲からやってきた宇宙人で推定年齢は17000歳。恒点観測員340号として地球に立ち寄った際に地球人の青年・薩摩次郎の勇敢な行動に心を打たれ、彼の姿を借り、地球が宇宙からの侵略者の脅威に晒されることを知り地球に留まることにします。

 普段はモロボシ・ダンの名前を借り、地球防衛の任を担うウルトラ警備隊の一員として活動をしていますが、危機に陥ると身に着けた“ウルトラアイ”を着眼してウルトラセブンに変身して地球侵略を企てる宇宙人や怪獣と戦います。また自分が戦えない緊急時は、身代わりとしてカブセル怪獣を放って戦わせることもあります。(登場したのはウインダム、ミクラス、アギラの3匹)

 必殺技は「アイスラッガー」、「エメリウム光線」「ワイドショット」など。身長はミクロから40mまで伸縮が可能、体重は最大35000t、地上を時速800㎞で走り、一跳びで400メートルの高さまで跳躍ができます。大気圏内ではマッハ7の速度で飛行、宇宙でも飛行は出来ますがその際の速度は不明です。

 ウルトラセブンの名前の由来は、ウルトラ警備隊隊員6人に協力する真紅の宇宙人をウルトラ警備隊7人目の隊員という意味を込めて「ウルトラセブン」と命名したことに寄りますが、番組内でその由来が明かされることはありませんでした。しかし第1話のラストで語られる予定があり、実際に撮影は行われましたが、編集時に時間の都合によりカットされてしまいました。

 

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ウルトラセブン
 主な登場人物

 

 ウルトラセブンのキャストは以下通りでした。

 

 ウルトラ警備隊

キリヤマ・カオル隊長:中山 昭二

モロボシ・ダン隊員、ウルトラセブン(声):森次 浩司

友里アンヌ隊員:菱見 百合子

フルハシ・シゲル隊員:石井 伊吉(毒蝮 三太夫

ソガ隊員:阿知波 信介

アマギ隊員:古谷 敏

 地球防衛軍

ヤマオカ長官:藤田 進
タケナカ参謀:佐原 健二
マナベ参謀:宮川 洋一
クラタ隊長(宇宙ステーションV3):南 廣

  

ウルトラ警備隊の隊員に関わるエトセトラ

 

 キリヤマ隊長役を好演したのは中山昭二さん。昭和3年生まれの中山さんは14歳で横須賀海兵団に入団し、終戦後はバレエダンサーとして活躍していました。1952年越路吹雪の相手役で舞台に出演していたのを、日米合作映画「アナタハン」の撮影で来日していたジョセフ・フォン・スタンバーク監督にスカウトされ、同作品に出演したことで俳優に転身しました。その後活躍の場をテレビに求め、「特別機動捜査隊」「ウルトラセブン」「忍者部隊月光」などでレギュラー出演しました。いずれもメンバーをまとめる役だったとか。晩年は栃木県にある日光江戸村の芸能師範として後進の指導に当たられていました。中山さんは元々「子供番組(に出る)なんて恥ずかしい」と言っていた様ですが、後年アンヌ隊員役のひし美ゆり子さんに「なんだかんだ言っても、俺の代表作はセブンなんだよな・・・」としみじみと語っていたそうです。

 ウルトラ警備隊で豪放磊落なフルハシ隊員を演じたのは毒蝮三太夫さん。毒蝮さんは1948年、12歳の時に舞台「鐘が鳴る丘」で子役デビューし、高校を卒業するまで東宝大映の青春映画に出演されています。日本大学芸術学部を卒業後は本名の「石井伊吉(いしい いよし)」を芸名にしてテレビドラマの創成期から俳優として出演されています。1966年にウルトラマン科学特捜隊のアラシ隊員役で出演し子供たちの人気者になった毒蝮さん、ウルトラセブンでも引き続きほぼ同じ役柄であるウルトラ警備隊のフルハシ隊員として出演されました。ウルトラマンウルトラセブンの両方の作品に出演された毒蝮さんは当時を振り返り「当時は、ジャリ番と言われたけど、熱心に演じたことが受け入れられたのだと思う。」と述懐しています。ウルトラマンの時にも書きましたが、毒蝮三太夫という芸名は同時期に日本テレビ笑点に二代目の座布団運びとして出演していましたが、「ウルトラ警備隊員が座布団を運んでいるというクレームが日本テレビやTBSに殺到、そこで当時の笑点の司会者だった立川談志さんが「怪獣ドラマに出演しているなら、怪獣よりも強い芸名にした方が良い」というアドバイスを受け、「毒蝮三太夫」という芸名に変更されたそうです。

 ウルトラ警備隊の名スナイパーのソガ隊員を演じたのは阿知波信介さん。阿知波さんは1965年公開の映画「太平洋奇跡の作戦 キスカ」でデビューし、日本テレビ系の青春ドラマ「青春とはなんだ」に出演後、ウルトラセブンのソガ隊員役に起用されました。親しみやすい性格だったようで、アンヌ役のひし美ゆり子さんとは「アンヌゥ」「アッチィ」と呼び合う仲だったそうです。その後、俳優からマネージャー業に転身、女優の多岐川裕美さんと結婚するとともに俳優の竜雷太さんと芸能プロダクション・アクターズプロモーションを設立し華麗なる転身劇が話題になりました。阿知波さんは2007年5月旅行先の鹿児島で惜しくも亡くなられました。どうやら自殺だったようで、阿知波さんは晩年、高血圧に悩まされていたそうです。

 毒蝮さんはウルトラマンウルトラセブンと2作連続でウルトラシリーズに出演されましたが、ウルトラ警備隊の頭脳班であるアマギ隊員役を演じた古谷敏さんもウルトラマンウルトラセブンと2作連続でレギュラー出演されています。もっともウルトラマンの時はウルトラマンスーツアクターとして出演、長身の古谷さんにウルトラシリーズのデザイナーを務める成田亨さんが惚れ込み、ウルトラセブンスーツアクターを依頼しましたが、古谷さんがこれを固辞し大いに残念がらせたようです。古谷さんは第31話「悪魔の住む花」で子役時代の松坂慶子さんと共演されています。古谷さんは「アマギの最高の見せ場」との思いで演じたそうです。

 

 ダンとアンヌ~宇宙人と地球人の禁じられた恋

 

 ウルトラセブンに変身する主人公モロボシ・ダンを演じたのは森次晃嗣さん。森次さんは北海道出身、高校を卒業後上京し、様々なアルバイトやモデルの仕事をしながら俳優をめざし、1965年にテレビドラマ「青春をぶっつけろ!」でデビューすると、1967年のテレビドラマ「天下の青年」出演を期に、「ウルトラセブン」の主役に抜擢されました。森次さんはウルトラセブンで大ブレイクした後も、現代劇から時代劇まで数多くのテレビドラマや映画に出演されており、「ウルトラマンレオ」ではMACの隊長役としてレギュラー出演し、また「平成ウルトラセブンシリーズ」や「ウルトラマンメビウス」にもモロボシ・ダンとして登場しています。

 森次さんは後に、若い頃はモロボシ・ダンのイメージを払拭するために色々な役に挑戦していましたが、次第に自分の中にモロボシ・ダンが息づいていることを感じるようになり、自然に受け入れられるようになり、モロボシ・ダンであることは自分を律する枷にもなったと述べています。森次さんの芸名は当初は森次浩司でしたが、占いに凝っていた俳優の萬屋錦之介さんの勧めもあって今の芸名に改名されたそうです。

 森次さんは、俳優業の傍ら、神奈川県藤沢市でカフェレストラン「JOLI CHAPEAU(ジョリー・シャポー)」 を経営しており、店にいる時には自らハヤシライスを調理しているそうです。店内ではウルトラセブングッズの販売、定期イベントとしてジャズやシャンソンのライブ、ウルトラ関連のファンミーティンが行われています。

 

www.jolichapeau.com

 ウルトラ警備隊の紅一点、友里アンヌ隊員を演じたひし美ゆり子(当時は菱見百合子)さん。ひし美さんがウルトラセブンに出演することになった事情はウルトラファンには有名です。ウルトラセブンのアンヌ隊員役には豊浦美子さんという女優さんが決定しすでに撮影にも入っていましたが、急遽映画「クレージーの怪盗ジバコ」にヒロイン役として出演することになり降板、その代役としてひし美さんが抜擢されました。急に決まったためウルトラ警備隊のコスチュームも間に合わず、小柄な豊浦さんの体型に合わせたため、ボディラインを強調したものになったそうです。ひし美さんと豊浦さんは2015年に4月に神戸市灘区で行われたトークイベントで40数年ぶりの再開を果たしています。

 ウルトラセブン出演後、映画やテレビドラマに出演されていましたが、1972年に専属の東宝と契約が切れ、女優を辞めるつもりでいらしたようですが、個人的な記念と撮ったヌード写真が週刊「プレイボーイ」誌に流出し、これをきっかけに東映から「不良番長」出演のオファーがあり、それに承諾しますが、直後に新藤兼人監督の「春琴抄」の主役のオファーを受け、東映に断りを入れたら、「先に出演依頼をしたのはこっちなんだから、それを断るような不義理をしていると業界生きていけない」と言われて、「春琴抄」を辞退し、「不良番長」に出演しました。ひし美さんは、その後「東映ポルノ」や「仁義なき戦い」シリーズや東映製作のテレビドラマなどに出演し、ふんだんに美しい肢体を披露しています。ひし美さんは後に「もし「春琴抄」が実現していたらその後の道も変わってたんでしょうね」としみじみと語られています。

 ひし美さんは現在ドラマやウルトラシリーズのイベントなどに出演しながら、御主人とともに東京都調布市で中華料理店「台北飯店」を経営されています。私も昔、調布に住んでいいてこのお店にも行ったことがありますが、残念ながらアンヌ隊員は見かけませんでした。最もその時はアンヌ隊員のお店とは知りませんでしたが・・・!? 

 ひし美さんのブログがありました。リンクを貼っておきます。

blog.goo.ne.jp

  ダンとアンヌの恋愛については企画の段階から「淡いロマンスあり」とありましたが、あまり取り上げられていませんでした。番組が終盤に近づくにつれ最終回の演出を任された満田かずほ監督は、ダンとアンヌの別れを意識して森次さんとひし美さんを他の出演者より早くに呼び出して、演技ついての指導を行ったといいます。そして感動的な別れのシーンとなるのです。

 

ダン:「アンヌ、僕は、僕はねぇ、人間じゃないんだよ。M78星雲からや来たウルトラセブンなんだよ」
アンヌ:「・・・?」
ダン:「びっくりしただろう?」
アンヌ:「ううん、人間であろうと、宇宙人であろうと、ダンはダンに変わりないじゃないの、たとえウルトラセブンでも」
ダン:「ありがとう、アンヌ。」
ダン:「今話した通り、僕はM78星雲に帰らなければならないんだ。西の空に明けの明星が輝く頃、ひとつの光が宇宙へ飛んでゆく。それが僕なんだよ。さようなら、アンヌ」
アンヌ:「待って、ダン。行かないで」
ダン:「アマギ隊員がピンチなんだよ」

  

 このシーンのバックにはシューマンのピアノ協奏曲イ短調54番が流れています。私はウルトラセブンの全話をブルーレイに録画していますが、このシーンを見るたびに不覚にも涙が出てしまいます。

 

おわりに

 

 今回はウルトラセブンの誕生秘話とウルトラセブンに出演された人たちのエピソードを述べてきました。次回はウルトラ警備隊のメカに関することとウルトラセブンに登場する宇宙人や怪獣について書いてみたいと思います。更新は今週末か来週になると思います。またしばらくはウルトラセブンの記事が続きます。

 

おまけの音楽

 


科楽特奏隊「ウルトラセブンの歌」2017.6.7Release

 

 ウルトラセブンのオープニングソングは「ウルトラセブンの歌」ですが、この主題歌を歌っていた男性コーラスグループ「ジ・エコーズ」には、後にレコード大賞を受賞した歌手の尾崎紀世彦さんが在籍していました。尾崎さんは冒頭の「セブン~」の3番目に歌っています。

 

ウルトラセブンの関連グッズ

 

新資料解読 ウルトラセブン撮影日誌

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ウルトラセブン 完全解析ファイル (別冊宝島 2577)

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ウルトラヒーローシリーズ 02 ウルトラセブン

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ウルトラセブン 2018年 カレンダー 卓上 B6 CL-160

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 参照:Wikipedia ウルトラマンウルトラセブン中山昭二毒蝮三太夫

         阿知波信介古谷敏森次晃嗣ひし美ゆり子、豊浦美子、不良番長 

   ウルトラマン オフィシャル データ ファイル series3 ウルトラセブン

    ウルトラマンデータベース ウルトラセブン

    トピックインフォメーション 

        新路線を目指して試行錯誤―ウルトラセブン誕生ストーリー

        モロボシ・ダン役で大ブレイクした森次晃嗣

        降板女優の代役から人気ヒロインへ―アンヌ役のひし美ゆり子

        冷静沈着ながら情に深いキリヤマ隊長を好演した中山昭二

        ウルトラシリーズへの出演が芸名の由来!? フルハシ役の毒蝮三太

        ダンの頼れる兄貴分・ソガ隊員を好演した阿知波信介

        繊細な名プランナー・アマギ隊員を全力で演じた古谷敏

        万感の思いを込めて最終回を演出した監督・満田かずほ

写真:無料写真素材 写真AC 宇宙と地球 ガイア はむぱん                   

 お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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