五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

ルワンダの涙

 スカパーで放送されている映画作品をブルーレイに録画していると、以前ブログに載せたが、そのほとんどは見ておらず、今では収集することが目的になっている。先週の金曜日、夜遅く帰り、明日は休みということもあり、久々に録画したもので、(ちょっと時事問題を扱った作品を見たい気分だったので)イギリス製作の「ルワンダの涙」という映画作品を見た。この映画は1994年のルワンダ大虐殺’を植民地時代の支配層である白人の視点で描いたもので、当時ルワンダで働いていたイギリスBBC放送のスタッフの体験に基づいて制作されたものである。

 フツ族ツチ族の紛争が続くルワンダで、フツ族系の大統領の暗殺事件を契機に、フツ族ツチ族双方の対立が激化し、フツ族過激派はツチ族を殲滅せんとし大虐殺を開始する。首都キガリにある公立の技術学校はベルギー軍を中心とした国連軍が駐留し、治安を維持していたためそこへ大量のツチ族の難民が入ってくる。だが戦況が悪化し、フツ系の民兵が学校を取り囲むようになると、国連軍は撤退を余儀なくされる。技術学校には若い英語教師とカトリックの神父の2人の白人がいたが、若い英語教師は命惜しさに軍と一緒に引き上げるが、神父は残り学校にいる子供たちを逃がそうと、子供たちをトラックの荷台に隠し学校の外へ出るが、かつて恩義を図ったフツ系の男の尋問に遭い殺害されてしまう。その間子供たちは秘かに荷台から下り脱出していく。何年かたって、生き延びた子供が今イギリスにいる英語教師を訪ねるところで物語は終わる。

 かつて親しくしていた隣人が殺戮者に変貌する姿、全く役に立たない国連軍、見捨てられたものの悲痛な叫びなど、この映画からは考えさせらるもののあった。しかし何故このようなナチのユダヤ人大虐殺と同じくらいいやそれをはるかに凌ぐ大虐殺が発生したのか深く追求してはいない。ルワンダ第一次大戦後ベルギーによって委任統治されたが、ベルギーは統治策としてツチ族を経済面・教育面などあらゆるところで優遇し、1994年の大虐殺の遠因となる二つの民族の固定化を図る。その背景には旧約聖書に起因するハム仮説がある。ハム仮説とは、黒人の始祖とされるハムは、酔っぱらって寝た父ノアの裸を見た咎で、「ハムの子孫は呪われよ。そして他の兄弟の僕になって使えよ。」とされる。呪われたハムの子孫はアフリカに南下し、その地の原住民に文明をもたらしたという高慢なものである。ツチ族はハム系諸民族に特徴的な「痩せがちで鼻が高く長身な」牧畜民族で、これに対してフツ族はアフリカ・バンツーニグロに特徴的な「中程度の背丈とずんぐりした体形を持つ」農耕民族で、このおかしな理論でツチ族フツ族を支配する根拠を与えた。またカトリック教会ツチ族を優遇している。第二次大戦後、ルワンダで他のアフリカ諸国同様独立の機運が高まってくると、ベルギーやカトリック教会は今までの態度を一変し、多数派を占めるフツ族を支持するようになる。1962年にルワンダは独立するが、過去の経緯からフツ族によるツチ族への虐殺が行く度か発生している。

 結局は白人が君臨し、支配するのに都合のいいように民族を分割した訳で、実際にどちらがツチ族フツ族かなのかは見た目からでは判別は無理らしい。ツチ族フツ族も言語や宗教に差異はなく、もともと同一なものが農耕系と遊牧系に分化したものと今では考えられている。白人が来るまではツチ族フツ族もお互いの間で婚姻など交流があったことを考えれば、平和だった社会を破壊し、民族を分断、互いに憎悪を駆り立てた白人たち西欧列強は悪魔だといえる。それを手助けしたキリスト教、本来宗教は人を救うものだが、この宗教は太古より血まま臭い、ペテンとは言わないがかなり胡散臭い。ルワンダの大虐殺の悲劇を世界に紹介し、彼の地に平和をと呼びかけるのはいいが、白人たちはまずその原因を作ったことに対し反省すべきではないのだろうか?これはアフリカのみならず、アジアや南北アメリカ及びオセアニアにも同様に言える。南北アメリカオセアニア(オーストラリアだが)のネイティブたちは生きることも許されず、虐殺された。白人たちの今の若い世代に罪はないが、彼らがマスメディアを通して、太平洋戦争での捏造された歴史である日本軍の残虐行為を叫ぶが、私は日本人として「お前らには言われたくない」と思う。

 映画のワンシーンで、TVの女性クルーが「不思議ね・・・。ボスニアを取材した時は虐殺された白人女性が自分の母親なら・・・と心を痛め毎日泣いたけど、ここでは何も感じないの。転がっている死体がアフリカ人だから」という台詞がある。ネットではこの台詞に対していろいろな見解があるが、私はそれがそっくりそのまま白人の本音だろうと思う。


映画「ルワンダの涙」(05 英独/日本公開0701)予告編 - YouTube

 

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