五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

今年のイグ・ノーベル賞は!?

 「人々を笑わせ、考えさせてくれる」研究に対して授与される“イグ・ノーベル賞”、喜ばしいことに今年も日本人が受賞しました。日本人の受賞はこれで9年連続、これは快挙と言っていいでしょう。産経新聞の記事からです。

 ユーモアにあふれた科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が17日、米マサチューセッツ州ケンブリッジハーバード大で開かれた。医学賞には、キスをすることで皮膚のアレルギー反応が低減すると実証した大阪府のクリニック院長、木俣肇さん(62)が選ばれた。

 日本人のイグ・ノーベル賞受賞は9年連続。木俣さんは都合があって式典を欠席したが、受賞は光栄だとした上で「人間が本来持っている自然治癒力ともいうべき豊かな 感情を大いに利用して、アレルギー反応を減弱させてほしい」とのコメントを発表した。

 キスに関する別の研究を行ったスロバキアのチームが医学賞を共同受賞。授賞式では司会者に促され、客席で来場者のカップルらがキスを交わす一幕もあった。

  木俣さんは大阪府寝屋川市のアレルギー科クリニック院長。対象となった論文の実験では、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎を患う被験者それぞれ数十人に、恋人や配偶者と30分間キスをしてもらった。その結果、キスする前と比べ、ダニやスギ花粉に対する皮膚のアレルギー反応が大幅に抑えられたという.

 「キスすることでアレルギーが低減する。」にわかには信じ難いお話ですが、そういえば私の知る限りでは、あいさつ代わりにキスをしている西欧人にあまり皮膚アレルギーとかアトピーとか聞かないですね。(実際に西洋の方に皮膚病が少ないかどうかはわかりません)

 木俣さんはこれまで、「キスはアトピー患者のアレルゲン特異的IgEを下げる」「アレルギー患者は性交すると皮膚のアレルギー反応を下げる」などの論文を 発表しているそうです。何よりも朗報ですが、ただ問題はパートナーありきという事、パートナーがいない人にとっては残念ですね。おそらく誰でもいいってわけじゃなさそうですし・・・。

 


イグ・ノーベル賞、今年も日本人が受賞 「キスの効用」実証 - YouTube

 

 木俣さん以外にも今年のイグ・ノーベル賞、他の分野の受賞研究でもキスの研究に負けず劣らずユニークなものばかりです。今年のイグ・ノーベル賞を受賞された方とその受賞理由の一覧です。

 

部門 受賞理由 受賞者と所属
化学賞

ゆで卵を部分的に生卵に戻す化学的レシピを発明したことに対して

カラム・オーモンド、コリン・ラストン(オーストラリア)

トム・ユアン、スティーブン・クドラチェック、サミーラン・クンチェ、ジョシュア・N・スミス、ウィリアム・ブラウン、ケイトリン・プグリエーゼ、ティヴォリ・オルセン、マリアム・イフティハール、

グレゴリー・ワイス( アメリカ)

 物理学賞

ほとんどすべての哺乳類が、約21秒(±13秒)以内で膀胱を空っぽにできるという生物学的原理を実験したことに対して

パトリシア・ヤン、デイヴィッド・フー(アメリカ、台湾)

ジョナサン・ファム、ジェローム・チュー(アメリカ)

文学賞

"huh?"(え?)という言葉は人類のほとんどの言語に存在しているらしきこと、その理由がなぜなのかはっきりと確定できないことを発見したことに対して

マーク・ディンゲマンズ(オランダ、アメリカ)、     フランシスコ・トレイラ(オランダ、ベルギー、アメリカ)ニック・J・エンフィールド(オーストラリア、オランダ)

経営学

幼少時に地震、火山噴火、津波、山火事などの自然災害を経験しつつ、悲惨な個人的体験に遭わなかったビジネスリーダーの多くは、非常にリスク愛好的な性格を形成してきたということを発見したことに対して

ジェンナーロ・ベルニール(イタリア、シンガポール

アメリカ)、ヴィニート・バグワット(アメリカ)      P.ラガヴェンドラ・ラウ(イギリス、インド、フランス、

ルクセンブルグ、ドイツ、日本)

経済学賞

警官がわいろを受け取るのを拒否した場合は、その警官に報酬を与えたことに対して

タイ王国首都圏警察(タイ)
医学賞

激しいキス、その他の親密な人間相互間の行動の、生物医学的な利益や生物医学的な結果を研究しようとした実験に対して

木俣肇(日本)       

ヤロスラヴァ・デュルディアコヴァ(スロバキア

イギリス、アメリカ)

ペーター・ツェレツ(スロバキア、ドイツ)

ナターリア・カモドョヴァ、タティアナ・セドラーチコヴァ、ガブリエラ・レピスカ、バルバラ・スヴィエジェナ、ガブリエル・ミナーリク(スロバキア

数学賞

シャリーフ(預言者ムハンマドの子孫)の血統を誇るモロッコのスルタンで、血に飢えたる王の異名を持つムーレイ・イスマーイールが、伝説通り1697年から1727年までの間に888人の子供の父親になることが本当にできたのかどうか、いかにして可能だったかを決定するために数学的技法を用いようとしたことに対して

エリザベート・オーバーザウハー(オーストリア、ドイツ、イギリス)          

カール・グラマー(オーストリア、ドイツ)、

生物学賞

ニワトリの尾部に重しとなる棒を取り付けることにより、恐竜の二本足での歩き方の推定と同じような歩き方をニワトリがするようになることを観察したことに対して

ブルーノ・グロッシ、オマル・ララック、

マウリシオ・カナルス、ロドリゴ・A・バスケス(チリ) ホセ・イリアルテ=ディアス(チリ、アメリカ)

診断医学賞

車が減速用スピードバンプの上を乗り越える際に患者が感じる疼痛によって、きわめて正確に急性虫垂炎と診断できることを判断したことに対して

ジャラー・カリム(カナダ、イギリス)、    

アンソニー・ハーンデン(ニュージーランド、イギリス)       

ナイジェル・デスーザ(バーレーン、ベルギー、ドバイ、インド、イギリス)、       

アンドリュー・ホアン(中国、イギリス)  

アブデル・カデル・アロウニ(シリア、イギリス)

ヘレン・アッシュダウン、リチャード・J・スティーブンス、サイモン・クレックラー(イギリス)

生理学及び 昆虫学賞

人が様々な虫に刺された際にどれだけの相対的な痛みを感じるかを評価する「シュミット指数」を苦痛を惜しまず作り上げたことに対して 

自分の体の異なる部分25か所を何度もミツバチが刺すよう注意深く調整し、その結果どの部分の痛みが最も小さく(頭、足の中指の先、上腕部)、どの部分の痛みが最も大きいか(鼻の孔、上唇、陰茎体)を研究したことに対して     

ジャスティン・シュミット(カナダ、アメリカ)、 

マイケル・L・スミス(アメリカ、イギリス、オランダ)

 

 Wikipediaを引用しましたので、受賞理由の記述がちょっと難しくなっています。私なりに簡単に解釈してみました。

 

化学賞:ゆで卵を生卵に戻す

 ゆで卵とは、生卵に熱を加えることでタンパク質に変化が起こり、液体から固体になったものです。「覆水盆に返らず」という諺がありますが、不可能なことだと今まで思っていました。それが可能になるなんて凄い事ですね。でも「戻してどうすんの?」と突っ込みたくなりますが、実はこの研究成果は画期的で、医療分野においては全世界で20兆円くらいのコストが削減できるそうです。

 

物理学賞:哺乳類がおしっこをする時間は体の大きさに係らず21秒以内である。

 ちなみに±13秒の誤差があるそうです。だったら最初から34秒以内と言った方がいいと思いますけど・・・・。

 

文学賞:「はぁ?」に該当する言葉が、世界のどの言語にもある。

 理由は不明だそうです。この「はぁ?」に該当する言葉、発音も機能も同じだとか、ちなみに英語では「Huh?」だそうです。

 

経営学賞:子供の頃、災害に遭ったが悲惨な経験をしていない経営者はリスクを好む傾向にある。

 京セラの創業者である稲盛和夫氏は「企業は改革し続けなければ、現状すら維持できない。」と述べられています。企業経営者は現状に満足していては企業間の厳しい競争社会では生きていけず、経営者にはリスクを取る力が要求されます。そういった意味でこの経営学賞を考えてみると、何となく受賞者の考えがわかるような気がします。

 子供の頃に災害に遭い、身も心もボロボロになった人が経営者になった場合、心理的にリスクを回避するように思います。逆にそうでなかった人は自信というか自分には運があるものと考え、リスクを恐れずに積極的に行動していくでしょう。ただ疑問なのはそれをどうやって証明したか?興味が湧きます。

 

経済学賞:賄賂を拒んだ警察官に報奨金を支給したタイの首都圏警察

 タイの首都バンコクの交通渋滞は世界屈指の激しさで、車より歩く方が早く目的地に着くことが日常茶飯事だとか。交通違反も後を絶たず、それを取り締まる警察官も公然と賄賂を要求するそうです。事態を重く見たタイ警察は交通違反を見逃してもらうため賄賂を渡そうとしたドライバーを摘発した警官に1万バーツの報奨金を支払う方針を明らかにしました。ただ未確認ですが、すでに中止になっているとの情報もあります。

 

医学賞:熱烈なキスがカップルの活動にどう影響を及ぼすのかを検証した。

 日本人の木俣さんの研究については前述しましたが、共同受賞したスロバキアのチームの研究内容はネットで探してみましたが、見つかりませんでした。一体どんな研究をしたのでしょうかねぇ?

 

数学賞:近世モロッコの君主が子供を888人作ったとされる史実を数理解析で検証した。

 ムーレイ・イスマーイールはアラウィー朝モロッコの第2代君主で各地の反乱を鎮圧し、専制君主として50年以上君臨しました。首都をメクネスに定め、かの地に壮大な宮殿を建設しました。伝説によるとイスマーイールは精力絶倫で、1697年から1727年までの間に888人の子供をもうけたとされていますが、果してそんなことが本当に出来たのかどうか、仮に出来たとしたらいかにして可能だったかを数学的技法で検証したことが受賞の対象になっています。実際の検証結果はどうだったんでしょうねぇ?これもネットで調べましたが、結果はわかりませんでした。

 

生物学賞:ニワトリに尻尾を付けたら恐竜の歩き方になる。

 実際の映像らしきものがこちらです。


Lateral view of a control and an experimental ...

 どうなんですかね?私は恐竜の歩き方を見たことがないのでわかりません。

 

 診断医学賞:虫垂炎は車が道路の段差を通過した際の痛みの程度によって診断できる。

 実際に虫垂炎の患者を対象にして検証したそうです。虫垂炎の患者のほぼ全員が道路の段差を通過した際に痛みが強くなったことを訴えたそうです。緊急の際に役立つ結果だと思います。

 

生理学及び昆虫学賞:ミツバチに刺されると体のどの部位が痛いのか実際に自分の体を使って検証した。

 医療に携わる研究者の中には、余りの研究熱心のため自ら研究している病気に感染すことがあり、感染することを本望だと思われている方も少なくないとか。この研究をされたスミスさんという方もそのような研究熱心な方だとお見受けします。それにしても研究のためとはいえ、実際に25箇所もミツバチに刺されるなんてさぞや痛かったと思います。ただこれって下手したらアレルギーで命を落とす危険もあったのではないでしょうか?

 スミスさんは検証結果として、痛みが弱かったのは「頭、足の中指の先、上腕部」、痛みが強かったのは「鼻の孔、上唇、陰茎体」としていますが、一番痛かったのはどこだったかはわかりませんでした。ただ上唇というのはわかります。ちょっと違うかもしれませんが、あそこを蚊に刺される一番痒いし辛い。ところでスミスさん、痛みの強弱って一体何を基準にしたのでしょうか?

 

イグ・ノーベル賞受賞者には、賞状(紙切れ)と適当に作ったトロフィー、そして賞金として10兆ジンバブエドル(日本円にして0.03円)が贈られるそうです。受賞者の宿泊費や交通費は自己負担、受賞のスピーチも聴衆を笑わせるように要求されます。さてこのような陽気なイグ・ノーベル賞の授賞式が終わると、今度はノーベル賞です。昨年は3名の日本人の方が受賞されましたが、今年はどうでしょうかねぇ? 

 

追記:生理学賞及び昆虫学賞で、スミスさんの研究については記載しましたが、シュミットさんの研究については記載していませんでした。シュミットさんの研究は「どの虫に刺されたら最も痛いのか実際に自分の体を使って検証した」ことだそうです。スミスさんといいこのシュミットさんといい研究熱心というかクレージーというか、ある意味凄い人がいたものですね!ちなみにシュミットさんは147種類の虫に刺されてみて、一番痛かったのは「弾丸アリ」だそうです。

 弾丸アリとは中南米に低地多雨対帯に生息するアリです。この弾丸アリ、体長が18ミリから30ミリほどで、アリとしては比較的大きい部類ですが、刺されると弾丸に撃たれたように痛いから弾丸アリと呼ばれています。シュミットさん曰く、「錆びた5寸釘を削ってかかとに打ち込んだ足で、燃える木炭の上を歩くような痛み」だとか・・・!?

 

 過去の記事からです。昨年イグ・ノーベル賞に関しての記事を書きました。

kitajskaya.hatenablog.com

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 おまけの音楽:キスと言えば、この曲かな?アメリカのロックバンド、シックスペンス・ノン・ザ・リッチャーの1999年のナンバー「Kiss Me」です。


Sixpence None The Richer - Kiss Me (She's All ...

参照:産経新聞 9月19日付 社会面 キスするとアレルギー反応低減 イグ・ノーベル賞 日本人9年連続

   Wikipedia イグ・ノーベル賞、アラウィー朝、ムーレイ・イスマイール

   togetter キス研究だけじゃない!2015年イグ・ノーベル賞が一つ残らず面白くて偉大「実はノーベル賞モノでは」との声も

   engadge日本語版 米国の生化学チーム、ゆでたまごを液状に戻す技術を開発。戻してどうする?

   日本科学未来館 科学コニュニケーターブログ

   おもしろタイリポート バンコクの交通渋滞事情

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   NAVER 【閲覧注意】科学の名の下に147種の昆虫で自ら試した「刺されたら痛い虫ベスト10」(アメリカ)

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お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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