ブログの更新も日々の慌ただしさ(実際は要領の悪さ)でままならず、気が付けば、もう10月も残りわずか。ブログを始めてから最低でも月2回は記事を書くというノルマを課している自分にとって、この決意がこのままでは反故になってしまう・・・。という焦りあり、ブログをあと2日で2つ書こうと思い、今パソコンに向かっています。
最初の記事は、今年のノーベル賞。前回がイグ・ノーベル賞だったので、今回はノーベル賞にしようという安易な発想なのですが、今年はなな何とノーベル文学賞にあの“ボブ・ディラン”が授与されることになったので、改めて書いてみようと思いました。とは言っても明らかに旬は過ぎていますね・・・・。
10月14日の産経新聞の記事からです。
スウェーデン・アカデミーは13日、2016年のノーベル文学賞を米国のシンガー・ソングライター、ボブ・ディラン氏(75)に授与すると発表した。受賞理由は「偉大な米国の歌の伝統に、新たな詩的表現を創造した」としている。歌手の文学賞は初めて。有力候補に挙がっていた村上春樹氏は受賞を逃した。
スウェーデン・アカデミーの委員はインタビューで「伝統を具現化し、新たなアイデンティティーを創造することに自らの心血を注いだ」と評した。
1962年にデビューしたディラン氏は、フォークソングの代表格として知られ、反戦運動や公民権運動に大きな影響を与えた。メッセージ性の強い「プロテスタントソング」を次々と発表し、「風に吹かれて」「ライク・ア・ローリング・ストーン」など、数々の名曲は世界各国で広く知られている。たびたび来日し、今年4月にもツアーで日本各地を訪れた。
2008年にたぐいまれな詩の素晴らしさと、米国文化の貢献などが評価され、ピュリツァー賞で特別表彰。12年には米国で文民最高位の勲章となる「大統領自由勲章」を受章。ノーベル賞でもしばしば名前が取り沙汰されていた。
1934年、ミネソタ州ダルース生まれ。ミネソタ大学中退後、音楽活動に専念するためニューヨークに移った。賞金は800万クローナ(約9400万円)。授賞式は12月10日、ストックホルムで行われる。
ボブ・ディランがノーベル賞!?ノーベル賞に新たな賞ができたのかと一瞬思いました。私は学生時代に喫茶店の片隅であまりボブ・ディランの音楽を聴いていませんでしたが、これには本当に吃驚!?と同時に今年も村上春樹さんの受賞を祈った“ハルキスト”の方々には残念でしたねえ。有力受賞候補と何年も前から騒がれていたのに、蓋を開けてみたら歌手が受賞したとなるとハルキスト達の落胆は激しいのでは・・・。お察しいたします。私は村上さんの書かれたものを読んだことはありませんが、村上さんの本のタイトルを見ていると確かにノーベル文学賞に相応しい高尚な作家さんだとは感じてはいます。ただボブ・ディランは以前からノーベル賞の候補にはなっていたようです。知らんかった!?
ボブ・ディランのノーベル文学賞の選考理由は「偉大な米国の歌の伝統に、新たな詩的表現を創造した」とされています。頭の弱い私には今一つピンと来ませんが、難解だと言われているボブ・ディランの歌詞にはT.S.エリオットやエズラ・パウンドといった詩人の影響を受けているといわれており、詩人のアーチスト・マクリーシュもフランスの詩人フランソワ・ヴィヨンの名をあげています。
ボブ・ディラン、本名はロバート・アレン・ジマーマン。“ボブ”はロバートの愛称、“ディラン”はウェールズの作家で詩人でもあるディラン・トマスに因んでいると謂れています。ミネソタ大学在学中に放浪のフォーク歌手ウディ・ガスリーに強い影響を受け、彼の語りかけのように歌うスタイルはウディ・ガスリーのそれを踏襲したものとされています。その後大学中退しニューヨークへ移住しますが、ニューヨークでの生活がその後の彼の創作活動に多大な影響を及ぼし、以降急速に楽曲を生み出していきます。
1962年セカンドアルバムに収録された「風に吹かれて」はピーター・ポール&マリーによってカバーされますが、これがビルボード第2位の大ヒット。政治的メッセージの強いプロテストソングと知られるこの曲のヒットは、当時米国での公民権運動の高まりとともに、世間はこの曲の作者であるボブ・ディランを時代の代弁者とみなすようになります。ただボブ・ディラン本人はこの風潮に嫌悪感を抱き、次第にスタイルを変化させ。1964年に発表された自身4枚目のアルバムではプロテスタントソングの類は収録されていません。またこのころからビートルズやローリング・ストーンズといった英国のミュージシャンとの交流も始まり、急速に楽風がロックのスタイルに変化していきます。
その後も紆余曲折を繰り返しながらも音楽活動を継続、1998年にはロックの殿堂入り、1998年には30枚目のアルバム「タイム・アウト・オブ・マインド」がグラミー賞で3冠を達成する快挙を成し遂げました。21世紀に入っても活躍は続き、2001年に映画「ワンダー・ボーイズ」に提供したテーマ曲「シングス・チェンジド」がアカデミー歌曲賞とゴールデングローブ賞を受賞、2008年にはピュリツァー賞特別賞を受賞しています。
今回のボブ・ディランのノーベル賞受賞、当然と言えば当然ですが、世界の文学界で賛否両論が巻き起こりました。AFP通信の記事によると、フランスの小説家、ピエール・アスリーヌ氏は、
「ディラン氏の名はここ数年頻繁に取り沙汰されてはいたが、私たちは冗談だと思っていた。」
「今回の決定は、作家を侮辱するようなものだ。私もディランは好きだ。だが(文学)作品はどこにある? スウェーデン・アカデミーは自分たちに恥をかかせたと思う。」
またイギリスの小説家、アービン・ウェルシュ氏も、
「私はディランのファンだが、これは、耄碌して喚くヒッピーらの悪臭を放つ前立腺が捻り出した検討不足で懐古趣味な賞だ。」
と語るなど 、文学者らしからぬ表現でボブ・ディランの受賞を非難しています。
一方で今回の受賞を歓迎する作家もいます。以前「悪魔の詩」で世界中のイスラム教徒から反発を受けたイギリスの作家、サルマン・ラシュディ氏は、
「(ギリシャ神話の吟遊詩人)オルペウスから(パキスタンの詩人)ファイズまで、歌と詩は密接な関わりを持ってきた」
「ディラン氏は吟遊詩人の伝統の優れた伝承者だ」
と今回の受賞を肯定的に捉えています。
日本ではどうでしょうか?と言っても探し方が悪いのか、あまり有名人や作家のコメントが見つけることができませんでした。唯一あったのが、日刊現代10月17日付の記事。ボブ・ディランに多大な影響を受けたミュージシャンである吉田拓郎さんと井上陽水さんのことが書かれていました。
拓郎さんは今回の受賞に対して、
「ボブ・ディランがいたから今日があるような気もする。多くのことがそこから始まったと僕は思うのだ。」
陽水さんは、
「(ディランに)影響を受けたかと言われると、なんとも答えようがないけれど、影響を受けていないかと言われると、間違いなく影響を受けている。」
としていて、受賞の賛否についてはこの記事を見る限りでは不明です。
これとは別にお笑い芸人で、漫才師、最近ではワイドショーのコメンテーターとして活躍されている松本人志さんが16日に自身が出演されている報道番組「ワイドナショー」でボブ・ディランのノーベル文学賞受賞について気になる発言をされています。
松本さんは、今回の受賞については「ちんぷんかんぷん」だとし、そもそもノーベル賞に文学賞があることに疑問を呈しています。その上で今回のようにシンガーが受賞するのであれば、新たに「音楽賞」を新設してはどうかと提言されています。また文学の定義が拡大されることを吉本新喜劇のギャグを例に挙げ懸念を表明されています。
松本人志 ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞について語る ワイドナショー10/16
さてさて、今回のノーベル文学賞、賛否が噴出しましたが、その後のボブ・ディランの行動がさらに物議を咬ますことになります。ノーベル文学賞の発表直後に彼はコンサートを行っていますが、ノーベル文学賞についてはコメントはしませんでした。また受賞発表から10日経っても、ボブ・ディラン側からは何の声明すらなく、受賞について沈黙を貫き通したままでした。ノーベル文学賞を授与することを決めたスウェーデン・アカデミーはボブ・ディランと連絡を取ろうにも彼の所在がつかめなかったとか・・・・。
70過ぎの大人がこれではと、さすがに堪忍袋の緒が切れたのか、ボブ・ディランの態度にアカデミーの委員の一人である作家のペール・ベストベリィ氏が大激怒、10月22日にスウェーデンの公共放送のインタビューに応える形で、ボブを「無礼で傲慢だ!!ノーベル賞を欲しくないのだろう。自分はもっと大物と思っているかもしれない。あるいは反抗的なイメージのままでいたいのかもしれない。」と強い口調で批判しました。
それに恐れをなしたのか、はたまたバツが悪かったのか、10月28日、ボブ・ディランはスウェーデン・アカデミーにノーベル賞を受け入れる意向を示しました。スウェーデン・アカデミーのダニウス事務局長に対し、ボブ・ディランは「ノーベル文学賞を受賞したことを知り、言葉を失った。この栄誉に感謝する。」と電話連絡、12月10日にストックホルムでの授賞式に参加できるかどうかはまだわからないとしながらも、本人は28日に英国紙のインタビューには「できることなら」出席するとの意向を示しました。また今回のなぜ沈黙を貫いたのかの質問については「今ここにいる。」と意味不明の答えを残しています。この返答って何かを暗示しているのでしょうかねえ?案外世間の反応を伺っていたような気がしないようでもありませんね。
さて、ノーベル賞を巡る騒動もボブ・ディランが沈黙を破ったことで、落ち着きを取り戻したようです。ただどうでしょうか?12月10日のノーベル賞の授賞式まで1か月近くあります。果たしてボブ・ディランは出席するのでしょうか?出席したとして、きちんと燕尾服を着用して登場するのでしょうか?それともボブ・ディラン的なファッションを貫くのか?まだまだ予断は許さないような気がします。
おまけの音楽: ボブ・ディランの名曲と言われている「風に吹かれて」と「ライク・ア・ローリング・ストーン」です。学生時代、下宿で先輩とよくギター片手に歌ていました。あの頃が懐かしいです!!
Blowing In The Wind (Live On TV, March 1963)
Like a Rolling Stone - Bob Dylan
関連するかと聞かれれば、全く関連しませんが、記事の見出しににボブ・ディランの曲のタイトルが記載された過去の記事です。
参照:産経新聞 2016年10月14日付
ノーベル賞 ボブ・ディラン氏 文学賞 米歌手「新たな詩的表現」
多彩な解釈 進化する歌詞 ノーベル文学賞 歩み続けるディランさん
産経新聞 2016年10月30日付
ディランさん ノーベル賞受諾 「言葉を失った。この栄誉に感謝」
Wikipedia ボブ・ディラン、風に吹かれて、ウディ・ガスリー、ディラン・トマス
川崎 大助 ボブ・ディランがノーベル文学賞をとった「当然の理由」現代ビジネス
日刊現代2016年10月17日付 ボブ・ディランを追いかけて50年 拓郎と陽水の今
AFP BBNEWS ボブ・ディラン氏にノーベル賞、文学界で賛否噴出
JCASTニュース 松本人志「ノーベル音楽賞を作ったらいい」
写真:無料写真素材AC 写真AC ノーベル賞の晩さん会会場 くぽ丸
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追伸:ボブ・ディランさん、またやらかしたようです。ノーベル賞の受賞講演で盗作疑惑が浮上しました。受賞前も受賞後もお騒がせしてくれますね!?