五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

あゝ夏休み

 8月も今日で終わり。子供たちは今日から学校ということで、やや緊張とした顔つきで学校に入った模様です。息子は昨日まで夏休みの宿題ができておらず、遅出の私が出勤する1時間前になって自由研究を手伝ってくれという始末。おいおい息子!!、去年もそうでなかったか?・・・・?ともあれ朝から晩までずっと家にいる子供達のエアコンの電気代に頭を悩ます私にとっては一安心というところです。

 そんな夏休みですが、私たちの子供ころと比べ、今の子供たちは休みの期間が減っていますね。また最近では更に夏休みを減らす自治体が増えているようです。

 産経新聞の記事からです。

 8月もいよいよラストウイーク。この時期になるといつも、社会部で気象台を担当していたころを思い出す。子供たちの夏休み期間の天気や気温などを一覧表にして、地域版に掲載していたのだ。

 夏休みについついさぼり、絵日記や自由研究などをまとめて片付けようとする子供たちのための記事である。自分が子供のころもそうだったな、などと思いながらの作業は案外、楽しいものだった。

 今、そんな記事はどこにも載らない。ネット時代になって、天気情報などはだれでも簡単にアクセスし、活用できるのだから当然のことである。現代っ子たちには別の苦労が広がっている。夏休みが短縮されて、とても8月いっぱいまで休めない子供が増えているのだ。

 たとえば大阪市では今年から、小学校の夏休みが1週間短縮された。中学校では3年前から1週間カットされていて、それに合わせた措置だという。夏休み短縮の動きは近年の流行で、高松市は2年前から小中学校で1週間、福岡市は昨年から小中学校で6日間、夏休みを短縮した。今年から1週間短縮を実施した自治体には大分市(小中学校)、和歌山市(中学校)、兵庫県尼崎市(中学校)などの名前が並ぶ。

 1週間どころではない短縮方針を打ち出したのは静岡県吉田町だ。来年から小中学校の夏休みを、従来の24日間から16日間に短縮すると発表した。2週間余の夏休みでは、大人の盆休みの延長程度の期間だから、子供たちからはきっと、不平不満が出ることだろう。

 夏休み短縮の理由として各自治体が挙げるのはたいてい、以下の2点である。2020年度に新学習指導要領が完全実施されれば、英語学習拡充のために小3~6は年間授業時間が35時間増える。それに対応する措置-というのが1つ。もう1つは教員の過重労働解消。たとえば吉田町では、中学校教員の月平均残業時間は90.1時間あるという。過労死のリスクが高まるとされる月80時間を超えている。定時勤務時間はほとんど授業に費やされ、部活指導や授業準備、事務作業などはどうしても放課後にこなさなければならないためだ。

 従来の夏休み期間に授業を行えば、1日当たりの授業時間が減らせる。余裕が生まれる定時勤務時間で放課後の仕事を片付けられれば、残業が減るというねらいなのである。同町では、週2回は午前授業のみにする案や、6時間目の授業を廃止する案が検討されている。

 ただし、その分、年間の授業日数は増える。同町では220日以上になると見込まれる。要するに、夏休み短縮で授業時間を捻出しようとする自治体では、学校活動の密度を減らし、薄く1年間に広げることで、増える学習量と教員の働き方改革に対応しようとしているのだ。

 悪名高きゆとり教育を脱して、学習内容を拡充することは、学術・技術立国を目指さなければならない宿命の日本にとっては大切なことだ。質の高い授業を確保するために、教員たちが余裕を持って働く環境も必要だろう。だから、その目的を踏まえた夏休み短縮には異議はないが、筆者は各自治体の措置に、目先のことばかり考えた貧乏性を感じてしまう。いっそのこと、義務教育期間の延長を提言する自治体があってもいいのではないかと思うのだ。

 日本人の平均寿命は今、世界第2位の男性80.98歳、女性87.14歳である。60歳を過ぎても健康で働き続ける人も増えた。そうした日々への準備期間である義務教育期間は、いつまでも9年間でいいのだろうか。22歳で大学を卒業し、働くのが当たり前ではない時代がすでに始まっている。教育内容やその期間も多様化しているのだから、義務教育期間の見直し程度はした方がいい。そうすれば夏休みも十分取れ、余裕を持った人生観を育てることにもなると思う。

              産経新聞 2017年 8月28日付 視線 貧乏性の夏休みのNOを 安本寿久

  私は夏休み期間というのは、寒い地域を除き全国一律だと思っていたのですが、実は各自治体の教育委員会の裁量で決められるそうで、例えば静岡県では静岡市浜松市では夏休みの期間が違い、また静岡市でも地域によっては夏休みの期間が違います。 

 産経新聞の記事にある吉田町、正式には静岡県榛原郡吉田町は(私の通勤途上にありますが)静岡県中部大井川の河口に位置する人口3万人弱の小さな町です。鰻の養殖で知られ、町は積極的な企業誘致を行っており、財政は豊かで地方交付税の不交付を続けています。吉田町の教育事情については殆ど知りませんが、町の小学校近辺の道路を車で通ると、いつも朝は通学路となっている横断歩道で保護者の方が子供たちを誘導する姿が見られ、私には地域が一丸となって交通安全を徹底し、子供たちを交通事故から防いでいるという印象があります。

www.town.yoshida.shizuoka.jp 記事にもありましたが、自治体が夏休みを短縮する理由のひとつが授業時間の確保でもうひとつが先生方の時間外勤務の削減。2020年に実施される次期学習指導要領の英語教育の強化策により、授業時間と先生方の負担が増すことになります。今回の夏休み削減策はやむを得ない選択だったかもしれません。

 実際日テレニュース24で吉田町の小学校を取材している映像を見ましたが、吉田町の小学校教師の残業時間は月平均で57.6時間に及んでいます。これは国が示す過労死ライン「週60時間以上」に迫るもので、取材された先生も授業が終わったら行事の指導、研修、テストの採点など仕事が山積みの状態、下校されたのが定時の時間より2時間余り過ぎた時間で、何より驚いたのが取材を受けた先生が下校したにもかかわらず、まだ半数以上の先生が職員室に残っていた事でした。 

www.news24.jp 私たちが子供の頃は土曜日は授業は半ドンでしたし、放課後の部活も顧問の先生はあまり生徒には付き合っていなかったように思います。それに祝祭日も今よりずっと少なかった。そう考えれば夏休みがある程度は削減されるのは理解できますし、それにより先生方の負担が減るのは歓迎すべきことでしょう。

 ただそれも限度があると思います。子供の夏休みと働く大人の夏休みの日数があまり変わらないのはおかしいんじゃないかな!?それに先生方には申し訳ないのですが、子供の休みが大人の都合(?)により減らされるのは本末転倒な気がします。

 吉田町の決定は子供たちの立場が無視されているように私は思えてなりません。長期休暇は何より子供たちの楽しみであり、家族での旅行や部活動、いろいろな体験を通して子供は成長していきます。毎日だらだらと自堕落な生活をするのも逆の意味からいえば大人になってから時間を無駄にするという貴重な教訓にもなります。それに社会人になれば1月にわたる長期休暇などはほんの一握りの人たちにしか取れません。長く休める夏休みはいわば子供たちにとっては“特権”かもしれません。

 かといって、先生方の過酷な労働をどうするかという問題が残ります。私は専門家ではないので無責任な発言になってしまいますが、今ある先生方の仕事の見直しを図り、人件費の可能な限りでは外部の人の応援を貰ってもいいのではないかと考えます。財政が豊かな吉田町ではそれも可能だと思います。

 また教職員の残業時間を抑制するために夏休みを短縮すると吉田町は決定したようです。産経新聞の記事では16日となっていますが、日テレのニュースでは吉田町の町長さん「来年は夏休みは10日になる」という驚くべき発言をしています。今回の夏休みの短縮案、果たして専門家の意見とか町の人の声を吉田町は聴いたのでしょうか?私には何か安易に物事を決めたような気がしてなりません。

 それに当の先生方は夏休みの短縮に賛成なのでしょうか?夏休みを減らして授業時間を増やせば、先生方の残業時間は減ると言っていますが、今まで余裕でできていた夏休みにやられていた先生方の仕事が、夏休みが減ることにより日々の労働時間に積み重なって、却って労働時間が増えることにはならないでしょうか?何だ仕事の量だけ増えて余裕のない先生方が増えるような気がしてなりません。

 国会ではつい最近までいわゆる“モリカケ問題”で与野党が言い合いをし、また文部科学省の偉い人の言動が問題視されています。最近は頭が相当退化しているので、私はこの“モリカケ問題”はどこがどう問題なのかどうしても理解できません。そんなことする時間あれば少しでもいいから教員の労働問題を国会で与野党が真剣に討論してもらいたいです。

 

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あー夏休み

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参照:産経新聞 2017年 8月28日付 視線 貧乏性の夏休みのNOを 安本寿久?

   Wikipedia 吉田町、過労死ライン

   情報局よろず屋 小中学校の夏休みが減る。10日間へ!静岡県・吉田町

   日テレニュース24 なぜ夏休み“短縮化”10日間の学校も

   東京新聞 2017年4月28日 中学校教員の57%「過労死ライン」の週60時間超勤務

写真:無料写真素材 写真AC 自由 LAYW

 

お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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