大晦日、なぜかまだ静岡にいる。これから神奈川の嫁の実家に行き、そこで正月を過ごすことにしている。思えば(40を過ぎた頃から特にそうだが)今年もあっという間に過ぎていった。福島から静岡へ、妻子を残して赴任、一人暮らしもようやく慣れてきたが、ひとりで晩飯を作って食べるときはさすがに寂しい。来年は子供たちが静岡に来ることになっている。どこに住むかは候補地を何箇所か挙げている。年明け早々不動産屋めぐりをすることになるだろう。
最近は重松 清の作品にはまっていて、購入した文庫本はもう5,6冊を超えた。彼は現代の家族の姿を描いている。彼の描く世界は幸せなものではない。むしろ凄惨で救いようのないものが多い。だが最後はこのような辛い現実でも頑張ってみようという希望というかエールを送っている。
重松氏はおそらく私と同じ年だと思うが、彼の描く大人と私の姿がオーバーラップする。文学賞をとった「ナイフ」の父親はまさに自分のことを見ているようだった。小柄で常におどおどしいつも何かにびくびくして今まで人生を生きてきた。果たして自分の子供が壮絶ないじめにあったときにどう行動できるか、この父親みたいに何もできないのではないだろうか?それを自分の子供にこの父親がしたように素直にありのままの姿を晒す事ができる勇気があるのだろうか?考えさせる作品だった。
また「セッちゃん」という作品は読むのが辛かった。これはいじめにあっている少女がいじめられているのは架空の転校生であることにして現実から逃げようとする話である。自分の娘も後数年で主人公の少女と同じ年齢になるが、娘は親の自分が言うのもなんだが、優しすぎるところがあるので少々心配になる。
いろいろ書いてしまったが、あと半日で今年もおしまい。これを読んでいる方、よいお年をお迎えください。
写真:無料写真素材 写真AC 除夜の鐘 ピクトライン