五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

マスメディアの言論統制、彼らの気分次第で粛清が進行する。

 まず最初に断っておくが、私は反原発論者でも、脱原発論者でもない。強いて言えば、原発慎重論者である。

 一月以上も前のことだが、野田首相福島原発を視察に訪れた際、当時経済産業大臣だった鉢呂吉雄氏が原発周辺の市町村を「死の町」と発言して、マスメディアは一斉に鉢呂氏非難した。「死の町」と言う表現はそんなに問題があるのかと疑問に思っていたが、その翌日だっただろうか、原発の視察を終えた鉢呂氏が東京で記者団と会見中に「放射能をつけてやる」と発言したと報道があり、与野党からの非難が高まり、鉢呂氏は大臣を辞職した。今までのケースで判断すると、また民主党の「トンデモ議員」がまたやったと思っていたが、今回のケースは以前の不祥事とはちょっと違う。まず鉢呂氏の「放射能」巡る発言は、各メディアとも発言内容が違う。後のケースでは「放射能を」に続く言葉を鉢呂氏が何と言ったのか、各メディアの発表は異なっている。もしこうした不用意な発言をしたのであれば、どうして証拠となる映像を公表しないのだろうか?会見は非公式であったとされるが、録音機器くらいは持っているだろう。こうした‘疑問’は、鉢呂氏の後任に枝野がなると聞いて、‘疑惑’に変わった。鉢呂氏はマスメディアによって抹殺されたのではないのかと・・・。

 鉢呂氏の経歴を見ると、北海道出身で以前には知事選にも出馬したようである。旧社会党出身らしく、左翼的傾向がある。在日韓国人地方参政権を与えることに前向きな困った御仁(この件については私とは全く意見が合わない)でもある。またエネルギー政策に関しては脱原発・反原発の立場を取り、件の辞任劇の数日前には、原発ゼロ発言をし、物議を醸している。福島にも良く足を運び、原発周辺の除染を提案し、経済産業省内の原発行政の改革にも熱心で、原発事故からの復興に向け積極的かつ真摯な活動していたと聞く。同じ左翼でも口ばっかりで何もせず、旨いものを鱈腹喰らっていた菅直人や口先だけの前原辻元清美とは大違いである。このぱっと見、善良そうな政治家をマスメディアは快く思わなかったのだろう。

 今回の辞任劇にきっかけになった言葉、まず「死の町」について見てみよう。「死の町」という言葉だけが、独り歩きしているが、あの時、福島原発視察時に、鉢呂氏は一体何と言ったのだろうか?

 経済産業省のホームページから福島原発視察後の鉢呂氏の発言を抜粋する。

 昨日、野田総理と一緒に原子力発電所の福島第一の事故の現場にも、大変まだ高濃度で汚染されている現場、また指揮されている事務管理棟、そしてまた作業をやっている二千数百名、ちょうど昼休みだったものですからお話をし、そして除染のモデル実証の伊達市、集落の所と学校と、また佐藤知事、そして除染地域に指定されております14の市町村長と朝6時、夜11時過ぎまでということで行ってまいりました。

 大変厳しい状況が続いておると。私が言っておりますように、福島のあの汚染がそもそもの経産省の一つの原点と捉えて、そこから出発をすべきだというものを、また3回目でありましたけれども、感じてきました。

 同時にまた事故現場の作業員、そしてまた管理している方々、予想以上に前向きで、明るく、活力を持って取り組んでおると。3月、4月に入った方もおられたのですが、雲泥の差というふうに聞かされたところでございます。

 残念ながら、周辺の町村の市街地は人っ子一人いない、まさに死の町という形でございました。私からももちろんでありますけれども、野田総理から、福島の再生なくして日本の元気な再生はないと、これを第一の柱に野田内閣としてやっているということを、至る所でお話をしたところでございます。

 その中でも、除染対策について、伊達市等、南相馬市も先進的に取り組んでいる。大変困難な中ですが、様々な形で14市町村の首長さん、こういった方法で除染をしているという前向きの形も出てきておるところでございまして、私もそういった過去の経緯からいっても、首長さんを先頭に各住民の皆さんが前向きに取り組むことによって、今の困難な事態を改善に結びつけていくことができると、こういうお話もさせていただきましたし、政府は全面的にそれをバックアップしていきたいと、こういうお話もさせていただきました。

参照:http://www.meti.go.jp/speeches/data_ed/ed110909aj.html

 この発言、いったい何処に問題があるというのだろうか?鉢呂氏とすれば、原発周辺自治体の悲惨な現状を素直にかつよりリアルに表現したのが「死の町」であり、前後の文脈から見てみても、大騒ぎするような内容ではなく、むしろ真摯に復興に取り組んでいこうと主張したものだと私は思う。マスメディアはどうして鉢呂氏の発言を非難するのか理解に苦しむ。「死の町」という言葉が被災者の感情を損なうといった報道が一部でされていたが、福島原発周辺の人たちを声を聞いたのだろうか?実際福島原発周辺の人たちは鉢呂氏の発言を支持し、辞任に至っては逆に「辞めないで」というエールも多数寄せられている。勿論マスメディアは黙殺しているが・・・。仮に「死の町」という言葉が不謹慎であるとするならば、それを言った人より、「死の町」にしてしまった人、及びその元凶を作った東京電力を非難するべきである。福島をボロボロにした東京電力に対してマスメディアは何故か甘い。鉢呂氏の後任の経済産業大臣は、福島原発周辺を自らのお粗末な対応で「死の町」にしたA級戦犯の枝野である。何故こんなふざけた人事にマスメディアは抗議しないのか?またマスメディアに便乗して、自民党公明党が鉢呂氏に抗議をしているが、彼ら自身がお粗末な原発行政を放置して置きながら、一方的に鉢呂氏を非難するのはお門違いだ。恥を知れと言いたい。

 次に「放射能をつけてやる」という発言、前述したが、各メディアともに「放射能」の次に来る言葉が違う。

 「(放射能)つけちゃうぞ」(時事通信
 「(放射能を)つけたぞ」(朝日新聞)(毎日新聞
 「(放射能を)うつしてやる」(産経新聞
 「ほら、放射能」(読売新聞)

 これを見てわかるように、各紙が全く違う言葉を書いている。鉢呂氏を取材した記者たちは、誰も鉢呂氏が正確に何と言ったか知らない。つまり記事自体、信憑性がなく、各新聞社が捏造した可能性もあるということだろう。第一常識のある人間ならば、原発事故の所轄官庁のトップの経済産業大臣に赴任してこのような軽はずみな発言はしないだろう(菅直人を除く)。この「放射能」発言で鉢呂氏が抗議しても、マスメディアは一切無視している。正当な抗議を黙殺しているのだから、これは言論統制言わざるを得ない。戦前の言論統制を非難しているマスメディアが、自分たちが言論統制をしているのだからその偽善者ぶりには呆れてしまう。鉢呂氏の辞任会見の席で、どこかの記者が「あの時本当は何って言ったのか」と口汚い言葉で罵声を浴びせていたが、鉢呂氏に聞くよりは、その席に居合わせた己の社の記者に聞けばいいのではないだろうか?彼がそれをしないのは、それなりの理由、記事自体がでっち上げであることを自ら認めることがわかっているからだろう。

 今回マスメディアによって、一人の大臣が辞職に追い込まれた。マスメディアにとっては、大臣の首を取ったことで、鼻高々だと思うが、これって考えようによってとても恐ろしいことだ。マスメディアの意に反するものは、真実を捏造してでも抹殺できるし、それに対する反論は無視され、検証は一切行われることはない。彼らは決まって、言論の自由を謳うが、それは自分たちに都合のいい事実だけを公表するだけ、そう戦前の大本営発表と同じ理屈で、本当の意味での言論の自由はない。何でも報道してもいいとは言わないが、報道するに当たっては、しっかりと検証し、裏付けは取る。そしてその発表された記事について責任を持つ。当たり前のことだが、これが守られていない。このような事を普通の企業が行ったらどうなるだろう。まず当事者の減俸・降格、下手したら解雇など厳しい処分が科され、当のマスメディアから非難される。放送倫理を問う組織として、BPO放送倫理・番組向上機構)があるが、BPOの組織の中にもマスメディア関係者がいて、どう見ても中立的な組織とは言い難い。またBPOのトップが「BPO」自体番組を監視し、罰するところではないと言っているように、業界に甘い団体であることに間違いない。このようにマスメディアを廻る環境はぬるま湯のようなもので、どのような不祥事が発生しても罰則はないに等しい。だから今後もますます放送事故や情報操作が発生してくるだろう。

 今回のケースは多くの国民にうすうす感じていたことをはっきりと気付かせてくれたのではないだろうか?つまり、原発事故からの復旧・復興を妨げるもの、東京電力民主党の他にマスメディアであることを・・・。

 追記:ちなみに鉢呂氏の発言を調べているうちに、何も悪いことをしていないのに、マスメディアから晒し者にされ、挙句に犯罪者に仕立てられた人がいることが分かった。何時になるかわからないが、この人について書いていこうと思う。

 

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