2017年も明けてそろそろ1月を過ぎようとしています。相変わらず年当初のブログの更新もままならない状態ですが、何とか頑張って記事を月2回のペースは維持していきたいと思います。まあはたから見ればどうでもいいことに思われますが、10年以上も続けてきたのだから月の更新をストップさせたくないという思いというか、言い換えれば執着心とかこだわりという類かもしれませんね。
さて、先日トランプ氏が第45代アメリカ大統領に就任されました。就任早々、「TPPからの永久離脱」、「難民受け入れの凍結」など公約とされた過激な政策を実行するための大統領令を発令していますが、最も過激と思われる「メキシコとの国境に壁を建設」する大統領令が25日発令されました。産経新聞の記事からです。
トランプ米大統領は25日、メキシコからの不法移民流入防止のために「壁」の建設を指示する大統領令に署名した。メキシコのペニャニエト大統領は「残念であり、非難する」との声明を発表。AP通信は、同氏は31日に予定されている首脳会談の中止を検討していると伝えたが、ロイター通信はメキシコ外相の話としては会談は予定通り行われると伝えるなど、対応に苦慮しているようだ。
トランプ氏は国土安全保障省で大統領令に署名。「国境のない国家は国家ではない。米国は今日から国境を取り戻す」と述べた。大統領令は、国土安全保障長官に、壁の設計や建設に直ちに着手するよう命じており、国境警備隊の5000人増員や、国境で拘束した不法移民を強制送還する手続きの迅速化も指示した。
米国内にいる不法移民の摘発強化に関する大統領令では、意図的に不法移民の取り締まりに寛容な政策をとっている自治体を批判。司法長官らに、こうした「聖域」自治体が補助金を受け取れないようにするための措置を命じた。また移民管理当局を1万人増員するとしている。
◆ Googleマップより 米国とメキシコ付近の地図です。
メキシコとの壁、大統領選でも盛んにトランプ新大統領が訴えてましたが、そんなのは夢物語で世間向けのパフォーマンスだと素人目にみてましたが、まさかに本気で建設するとは思いも寄りませんでした。(確かに公約を着実に実行することは立派だと思いますが・・・・。)しかも建設にかかる費用はメキシコ持ちにするなど、随分とメキシコのペニャニエト大統領も軽く見られたものですね。ペニャニエト大統領、同情いたします。
米国とメキシコの国境線は約3100㌔、日本列島の長さより少し短いが壮大な距離の国境線にどういう壁を作るかは不明ですが、建設費用は250億ドル、日本円にして約2.8兆円がかかるとされており、それに加えて維持費が年間に7億5000万ドル、恐らく建設しているうちに経費が嵩むから実際には当初より大幅に増えるでしょう。国家予算2702億ドル(日本円にして22兆9670億円)のメキシコにとってみれば反社会勢力からとんでもない因縁をつけられたみたいですね。
公共事業は雇用創出という効果がありますが、建設するのは米国(別の意味で米国の雇用創出ということでトランプ大統領の公約実現になるかもしれませんね。)で結局メキシコには一銭のお金も入ってこず、まさに踏んだり蹴ったり、一昔前だったら戦争になっていることでしょう。
話は脱線しますが、戦争と言えば、米国とメキシコは19世紀中頃に戦争したことがあり、当時の状況は全く立場が逆で、スペインから独立直後であったメキシコは政権基盤が弱く、米国からの度重なる不法移民に悩まされていました。米国からの不法移民たちはメキシコ領テキサスで独立宣言をしそれを機に米国が軍事介入しテキサスを併合、怒ったメキシコと戦争が勃発。米墨戦争と呼ばれる約2年余りの戦闘の末、勝利した米国はテキサスに加え、カルフォルニア・ネバタ・ユタ・アリゾナ・ワイオミング・ニューメキシコ・コロラドなど現在米国の州になっている領土を獲得、一方のメキシコは米国に国土の3分の1を割譲する屈辱を余儀なくされました。
今回は170年前のことが反対のケースで再現されているわけで、まさに因果応報、歴史の皮肉を感じます。穿った見方をすれば、今回トランプ大統領が執拗に「メキシコとの国境に壁」ということを執拗に叫ぶのは、米国民の心の奥底にこのテキサスの件があり、いつか米国がメキシコに復讐、侵略されるという恐怖感があるかもしれませんね。
今回の「メキシコとの壁」の建設、一番先に思いついたのは“万里の長城”です。秦の始皇帝の時代から建設され明代に完成され、全長8850㌔、最近では21196㌔と修正されているようですが、北方民族から侵攻への備えとして築かれたました。美しい景観を誇り、宇宙からも見える唯一の巨大建造物と云われる“万里の長城”ですが、実際には北方民族の侵攻防止の効果はなかったようで、万里の長城を完成させたとされる明朝も北方民族の清の侵入を防ぐことができず滅亡してしまいます。
万里の長城
言い古された言葉で申し訳ありませんが、メキシコとの国境に壁を作ることで不法移民の流入を防げるとは思いません。トランプ大統領は不法移民の犯罪により家族を失った遺族を名前を挙げ、壁建設の正当性を訴えています。気持ちは分かりますが、何処かしら的外れなような気がします。そもそも不法移民全てがメキシコとの地続きの国境を超えるわけではなく、不法移民の約半数は観光ビザなどで合法的に入国した後にビザが切れて居残ったとされる「不法滞在型」だそうです。
先ほど「壁」建設のコストについて述べましたが、後になって経費が何倍にも跳ね上がるのは東京五輪のごたごとを見るにつけ、火を見るのも明らかであり、雇用創出といういい側面はあるにせよ、完成後の維持費のことを考えると明らかにお金の無駄遣いだし、米国とメキシコとの間にしこりが残ると思います。いずれにしたっていいことはありませんね。
そもそも不法移民排除ではなくて、不法移民を発生させないという発想が出てこないのが不思議です。これは米国だけではなくメキシコにも問題があります。素人目で申し訳ないのですが、ラテンアメリカには瀕死の経済を立て直したペルーのフジモリ大統領の例もあります。ただフジモリ大統領は米国から嫌われてはいましたが・・・。
最後になりましたが、米国が「壁」を建設している間にメキシコの経済状態が先進国並みに安定し、米国への不法移民が激減し壁が無用な産物にならないかと意地悪な目で見ています。
余談でしかも大変失礼なことですが、トランプ大統領って顔が悪いなあと感じました。これはヒラリーさんにも言えるのですが、何というか年齢とともに現れる“品”というのがあまり感じられず、金銭的にも社会的にも大成功を収めているのに、どことなく卑しさが感じられます。もっともこれは大半が社会的にも金銭的にも成功したとは言えず、うだつの上がらない負け犬である私の僻みなんですが・・・・。
◆過去の記事からです。
おまけの音楽:トランプ氏がアメリカの大統領に就任する直前にNHKの深夜のニュースバラエティ番組でこの曲がかかっていました。時局がらナイスな選曲だと視聴者やコメンテーターが語っていました。
スーパートランプ 「ブレックファスト イン アメリカ」1979年のヒット曲です。スーパートランプはアメリカのバンドだと思っていましたが、イギリスのバンドなんですね!!知らなかった!?
Breakfast in America - Written and Composed by Roger Hodgson (Supertramp)
参照:産経新聞 2017年1月17日付 トランプ氏、「壁」着手 大統領令署名
Wikipedia 万里の長城、米墨戦争、ドナルド・トランプ、メキシコ
写真:無料写真素材 写真AC 国境 kawa7
万里の長城 sakuraki
お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
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