五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

祝!弥次さん喜多さん、駿州の旅 日本遺産認定①

◆◆ この記事の目次 ◆◆

はじめに

 

   7月も後半となってしまいました。本来なら今頃は夏本番ですが、今年は新型コロナウイルスの影響で季節感が全く感じられず、気が付いたらと言う感じで、街いや社会全体が閑散としています。

 静岡県を見てみますと、県内の新型コロナウイルスの感染者は今月になって100人を超え、新たに島田市磐田市伊豆市、そして私の住んでいる藤枝市にも新たに感染者が2名出ています。さらに浜松市では2店舗でクラスタが発生しており、昨日現在で県内の感染者は17市6町130人となっており、感染拡大に歯止めがかかっていません。

 今まで50年以上も生きてきましたが、これほど季節の移ろいを感じられなかった年はありません。ともあれ毎回ブログ記事の冒頭に書いているように早く当たり前のことが当たり前のようにできたコロナ以前に戻れることを切に願うばかりです。

「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」、令和2年度日本遺産に認定

 

 さて毎度の如く前置きが長くなりましたが、先月、藤枝市静岡市が申請した両市の旧東海道に関する歴史・文化をまとめたストーリー「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」が令和2年度の日本遺産に認定されました。以下は産経新聞の記事からです。 

 江戸時代の滑稽本に登場する「弥次さん、喜多さん」の東海道珍道中などを切り口に県内の宿場町を巡る物語としてまとめた「駿州の旅」が19日、地域の歴史的魅力を通じて日本文化を発信する「日本遺産」に認定された。申請した藤枝、静岡両市はこれを契機に観光振興を図る。県内の認定は平成30年度に認定された「箱根八里でめぐる江戸の旅路」(三島市などが申請)に続き2件目。

 認定されたのは「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」。当時の旅人たちが立ち寄ったとされる東海道の名所など現在も残る地域資源を一体的に物語としてまとめ、「当時の旅情に思いをはせながら、疑似体験できる構成にした」(藤枝市)。両市は今後、名所巡りなど観光振興分野で連携を強める考えだ。

 江戸時代、弥次さんと喜多さんを主人公とする十返舎一九滑稽本東海道中膝栗毛」では、薩埵峠や丸子宿の名物「とろろ汁」など蒲原から藤枝まで東海道の名所や名物が描かれている。加えて歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」に登場する風景や名所も旅情を誘い、当時、旅ブームに火が付いたとされる。

 藤枝市の北村正平市長は認定について「大変喜ばしく誇らしい。これまで以上に街道文化の魅力を発信したい」とコメント。静岡市田辺信宏市長は「東海道を結ぶ市町との交流や連携の輪が広がることを期待している」とした。

         2020年6月20日付 産経新聞静岡版 弥次喜多「駿州の旅」日本遺産に より引用

日本遺産とは?

 

 日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統をストーリーとしてまとめたものを文化庁が認定する制度で、2015年に始まり現在では104件が登録されています。ストーリーには、単独の市町村で完結する「地域型」と服須の市町村にわたる「シリアル型」に分かれており、今回の「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」は「シリアル型」になりますね。

 日本遺産の目的として、ストーリーの中に出てくる魅力溢れる有形・無形の様々な文化財群を,地域が主体となって総合的に整備・活用し,国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことで,地域の活性化を図ることとしています。

東海道について~駿州の宿場町~

 

 そういえば東海道については2年半前にもブログ記事にしています。今回もまた東海道が注目されました!!

 

kitajskaya.hatenablog.com

  東海道のうち駿州東海道の宿場町にあたるところは下の地図の国道1号線沿いに当たります。現在では県内を走る国道1号線は全線でバイパスとなっています。

 

 

 東海道の宿場町で駿州に当たるところは沼津から島田まで12か所あります。そのうち今回の日本遺産にかかわるところは15番の蒲原宿から22番の藤枝宿までになります。 

宿番 宿名 旧国名 現在地 主な名勝・史跡
12 沼津(ぬまづ) 駿河国駿東郡 沼津市 三枚橋城址、沼津城址
13 原(はら) 駿河国駿東郡 沼津市 松蔭寺
14 吉原(よしわら) 駿河国富士郡 富士市 富士参詣の宿駅
15 蒲原(かんばら) 駿河国庵原郡 静岡市清水区 志田邸
16 由比(ゆい) 駿河国庵原郡 静岡市清水区 薩埵峠
17 興津(おきつ) 駿河国庵原郡 静岡市清水区 清見
18 江尻(えじり) 駿河国庵原郡 静岡市清水区 三保の松原
19 府中(ふちゅう) 駿河国有度郡 静岡市葵区 駿府城
20 鞠子(まりこ) 駿河国有度郡 静岡市駿河区 丁子屋
21 岡部(おかべ) 駿河国志太郡 藤枝市 宇津ノ谷峠
22 藤枝(ふじえだ) 駿河国志太郡 藤枝市 田中城
23 島田(しまだ) 駿河国志太郡 島田市 蓬莱橋

ストーリーの概要

 

  日本遺産に認定された「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」とはどのような内容だったのでしょうか?ストーリーは正式には「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」~滑稽本と浮世絵が描く東海道旅のガイドブック(道中記)~とされており、このストーリーを紹介したリーフレットには次のように記されています。

 日本初の「旅ブーム」の火付け役は、十返舎一九滑稽本東海道中膝栗毛」であり、歌川広重の描いた「東海道五十三次」の浮世絵であった。「滑稽さ」「怖いもの見たさ」そして美味しい「名物」に引き寄せられるのは人の世の常。日本の「ガイドブックの原典」とも言われる「浮世絵」「滑稽本」に惹かれ、自由な移動が制限される江戸時代でも人々は物見遊山の旅へいそいそと出かけて行った。弥次さん喜多さんの「旅の楽しさ」は今も駿州で体感できる。富士山を仰ぎ見ながら江戸時代の「ガイドブック(道中記)」を片手に「東海道五十三次」の「真ん中」、駿州を巡る旅に出よう。

  今回の日本遺産の申請にあたり、藤枝市静岡市は「東海道中膝栗毛」と「東海道五十三次」をメインに、両市にある文化遺産や伝承及び風景などをつなぎ合わせ、ひとつのストーリーとしてこの地域の魅力を存分にアピールしたようですね。

東海道中膝栗毛」と「東海道五十三次」について

 

 ストーリーの中に出てくる「東海道中膝栗毛」と「東海道五十三次」、ともに江戸時代を代表する作品で、ほとんどの日本人が知っていると思いますし、今更ながら説明するまでもありませんが、ここでちょっと内容を述べてみたいと思います。

東海道中膝栗毛

  江戸時代後期の戯作者である十返舎一九の代表作で、1802年から1814年にかけて出版されました。「栗毛」は栗色の馬を意味し、題名の「東海道中膝栗毛」は自分の膝を馬の代わりに使って旅行する意味があるようです。十返舎一九は絵心があり、作品の随所に挿絵が挿入されています。この点が「日本のガイドブックの原典」とされているかもしれません。

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丁子屋 十返舎一九の碑

 物語は厄払いのために伊勢参りの旅に出た主人公の「弥次さん」と「喜多さん」が東海道を江戸から伊勢神宮、さらに京都・大阪を巡る物語で、道中の失敗談やドタバタ劇を面白おかしく描いています。ちなみに主人公の「弥次さん」と作者の十返舎一九も出身は駿河国府中(現在の静岡市駿河区)で、「弥次さん」は借金のため、駿河国で出会った「喜多さん」とともに江戸へ夜逃げをしています。その時に詠んだ句が面白かったので、載せておきます。

「借金は富士の山ほどある故に、そこで夜逃を駿河者かな」

東海道中膝栗毛 下 (岩波文庫 黄 227-2)

東海道中膝栗毛 下 (岩波文庫 黄 227-2)

 
東海道五十三次

  東海道五十三次は江戸時代後期の浮世絵師である歌川広重を代表する浮世絵の木版画の連作で、東海道を旅していた歌川広重が道中の風景に感動し、旅を終えた後の1832年に作製されたと言われています。この作品により、風景画のジャンルが確立されたとされ、その影響は日本にとどまらず西洋の近代美術に深い影響を与えました。中でも浮世絵のコレクターとして知られたオランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホは浮世絵の様式を自らの作品に取り組んだとされています。

  ただ私の浮世絵で描かれた東海道五十三次永谷園のお茶漬け海苔のイメージが強いです。随分と昔になりますが、永谷園のお茶漬け海苔を買うとおまけとして、袋の中に歌川広重が描いた東海道五十三次の浮世絵がカードとして入っており、何枚か集めて送るか応募券を貼って送ったかは忘れてしまいましたが、東海道五十三次の浮世絵の全セットが当たるキャンペーンがあり、私は応募して全セットをGETし、探してみないとわかりませんが、今でもそれは実家にはあると思います。

 

永谷園 お茶づけ海苔 8袋入

永谷園 お茶づけ海苔 8袋入

  • メディア: 食品&飲料
 

ストーリーを構成する文化財

 

 それでは、「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」の中の名所や名物とは如何なるものがあるのでしょうか? ストーリーは藤枝市静岡市に点在する32の文化資源を構成文化財として位置づけており、その内容は以下の通りです。

  構成文化財の名称 ジャンル 五十三次宿
1 蒲原宿 史跡 蒲原
2 旧和泉屋(お休み処) 史跡 蒲原
3 志田家住宅主屋 史跡 蒲原
4 由比宿 史跡 由比
5 静岡市東海道広重美術館 所蔵の浮世絵 美術工芸品 由比
6 間の宿西倉沢 史跡 由比
7 東海道の名主の館(小池家住宅) 史跡 由比
8 薩埵峠 名勝 由比
9 清見 史跡 興津
10 三保松原 名勝 江尻
11 江尻宿名物 追分羊羹 名産 江尻
12 府中宿(駿府九十六ヶ町) 史跡 府中
13 府中宿名物 安倍川餅 名産 府中
14 丸子宿名物 とろろ汁 名物 鞠子
15 丁子屋 史跡・名物 鞠子
16 慶龍寺 史跡 鞠子
17 間の宿宇津ノ谷 史跡 鞠子
18 十団子 文化・風習 鞠子
19 東海道宇津ノ谷峠越 史跡 鞠子
20 明治宇津ノ谷隧道 史跡 鞠子
21 蔦の細道 史跡・名勝 鞠子
22 坂下地蔵堂 史跡 鞠子
23 蘿径記碑 史跡 鞠子
24 十石坂観音堂 史跡 岡部
25 岡部宿大旅籠柏屋 史跡 岡部
26 岡部宿本陣址 史跡 岡部
27 東海道松並木(内谷地区) 史跡・名勝 岡部
28 史跡田中城下屋敷 史跡 藤枝
29 大慶寺 久遠の松 史跡・名勝 藤枝
30 飽波神社大祭の奉納踊り 文化・風習 藤枝
31 瀬戸の染飯 名産 藤枝
32 東海道松並木(上青島地区) 史跡・名勝 藤枝

おわりに

 

  次に「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」の構成文化財について解説しようと思いましたが、このままでいくと文字数が有に10000字を超えてしまうことがわかりました。(それ以外にも一部の構成文化財の写真を撮っておきたいということもありましたが・・・。)それで解説は次回の記事に持ち越したいと思います。

 この記事を書いている最中に政府の肝いりの経済政策「Go To トラベル」が、相次ぐ新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、東京都を除外する形で7月22日よりスタートしました。東京からの観光客が来なかったり、東京へ観光旅行に行けないことは非常に残念なことですが、安全・健康を第一に考えるならば、今回の政府の決定は致し方な事だと思います。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、私は手洗いやアルコール消毒の励行や外出時のマスク着用くらいしかできませんが、再三繰り返すようで申し訳ないのですが、一時も早くコロナ以前の普通の生活に戻れることを切に願うばかりです。

 

追伸東海道中膝栗毛の下りで弥次さんは喜多さんと駿河の国で出会ったと記述しましたが、喜多さんは駿河の国江尻の出身でした。

 

参照:産経新聞 静岡版 2020年6月20日付 弥次喜多「駿州の旅」日本遺産に

   Wikipedia:日本遺産、東海道中膝栗毛十返舎一九東海道歌川広重

           東海道五十三次(浮世絵)、フィンセント・ファン・ゴッホ

   広報ふじえだ 2020年7月20日付 祝!日本遺産認定

   文化庁 「日本遺産(Japan Heritage)」について

   藤枝市静岡市

     日本遺産認定ストーリー紹介リーフレット(表面)

   藤枝市 令和2年度日本遺産に認定されました

 

 お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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