五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

思い出の本屋さん

今週のお題「本屋さん」

 その本屋は橋を渡ったところにあり、人口2万足らずの小さな田舎町で唯一の本屋でした。私が子供だった頃、まだ学校は土曜日が半ドンで、一日ゆっくり休めるのは日曜日だけで、男の子だったら公園や学校のグラウンドで野球⚾をするのが休みの定番でしたが、私は運動神経が悪くまた人付き合いもよくなかったので、仲間には加えてはもらえませんでした。ですので、日曜日はたいていはその本屋に出かけて、1時間か2時間か漫画や雑誌を立ち読みをして帰るのが定番でした。

 児島書店という名前だったその本屋、今となってはそれが屋号だったのか児島さんという人が経営していたかはわかりませんが、6~7坪くらいの狭いスペースにはたくさんの人たちがいて、結構賑わっていたようでした。中には私のような立ち読み目当ての生徒もいて、親しい人だと声を掛け合ったりして、今思えば児島書店は内向的な小中高生にとっては一種の社交場だったかもしれません。

 もう半世紀前、時代がおおらかだったのか、店主や店員さんが太っ腹だったのかはわかりませんが、当時テレビや漫画であったような追い返されるようなことはされたことはなく、また閉鎖的な社会なこともあり、万引きとかは皆無だったような気がします。それにいつも立ち読みだけでは悪いので、両親や祖父母に泣きついて、定期的に参考書や問題集、また当時好きだったSFノベルスも購入していました。

 ただ高校生くらいになってからは次第に児島書店から足が遠のいてきました。やはり高校生が立ち読みなんてかっこ悪いと思ったのと、知識や教養が増えるにつれ、レベルの高い書籍がゆっくりじっくり読みたいと思い、だったら自宅で読書した方がいいじゃないと結論付けたこともあります。

 またその頃から田舎町にも県内外の大手スーパーなどが軒並み進出してきて、それは本屋さんも同様で、私が高校生の頃には田舎町には本屋さんが3軒立ち並ぶという事態となっていました。その後大学進学とともに上京し、結婚して帰省するも、ほとんど街中には出歩かなかったので、その後児島書店がどうなっているのかは知る由もなく、それ以前に私の記憶からはすっかり忘れ去られていました。

 今から10年位前に実家に帰省した際に、30余年かぶりに児島書店の前を通ったら、児島書店はなくなっており、その場所は更地になっていました。最近では観光スポットとなった昭和の町の入り口に位置する児島書店も時代の流れは勝てなかったのでしょう。何となく悲しくなってしばらくその場に呆然と立ち尽くしていたことを憶えています。

 私の住んでいる街にも戸田書店という書店がありますが、戸田書店静岡市にあった大型店舗は21世紀に入ってすでに2店舗閉店しており、昨今の書店経営の厳しさが伺い知れます。今は何でもネットで簡単に済ませる時代になったけど、私は昔ながらの「本屋さん」の方が断然魅力に感じています。そこはまさに情報の交差点であり、何よりもサロンのような存在だった・・・、そのような街の「本屋さん」がだんだんと消えていってしまうのは残念でなりません。

 

 

写真:無料写真素材 写真AC 神田神保町 古書店街1 すんたらず

 

お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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