今週のお題「ほろ苦い思い出」
長いこと生きていると、誰しもほろ苦い思い出の1つや2つもあると思います。私は昔から女性とは縁がありませんが、そんな私でも唯一話せる‟恋バナ“ というのが中学校から高校にかけてありました。記事にするのはかなり恥ずかしいのですが、思い切って書いてみたいと思います。
あれは中学生の頃だから、もう半世紀近く前のことになります。中学生になると、今でいう陰キャである私も、人並みに色気づくわけで、同級生だった一人女の子を好きになりました。
その子はMさんと言いますが、小柄でしたが、小麦色の肌をした、大きな二重瞼がくっきりとした、それは健康的な美少女でした。勉強も運動もできて、しかも性格もいい、それこそ‟高嶺の花”でした。
中学1年生の時に同じクラスになったのだけど、当時の私は小柄で、気の弱い性格だったので、男女を問わず、からかいやいじめの対象になっていました。特に女子のほうが酷かったと思います。でもMさんだけは違って、私のことを鼓舞したり、さりげなく褒めてくれたりして、今思えば、Mさんが初めて私のことを認めてくれた初めての人でした。
と同時に私のことを付きまとってくるストーカー女子みたいなのがいて、その執拗さに辟易していました。そのことをMさんにも相談していましたが、Mさんは私の気持ちに理解しつつ、「その人の気持ちも考えないと、だめだよ」と優しく諭してくれてました。
中学2年生となり、Mさんとは違うクラスになりましたが、それでもMさんへの思慕へは変わらず、いや離ればなれになったのせいもあり、余計強くなったのではないかなあ。それでもMさんに嫌われるのが怖くて、告白する勇気はありませんでしたが・・・。
秋になり、修学旅行で関西に修学旅行に行くことになりました。今はどうだか知りませんが、当時の修学旅行の醍醐味(?)の一つは男女の告白だったと思います。今とは違いスマホがあるわけでもなく、告白する相手の部屋に行き、相手を呼び出して告白すると言ったパターンで、修学旅行の後、カップルになった何組もありました。
ただ私は男女交際とか恋愛なんかにはとんで無頓着で、とても初心でした。それに女の子にモテるようなルックスや性格ではなかったので、まさか告白される側になることはないだろうと思っていました。
でもその‟まさか“が起きてしまったんです。あれは京都観光を終え、あとは田舎町に帰る前日の清水寺近くの旅館だったと思います。ただその時は揶揄われてるか、例のストーカー女子かなあと思い、罵詈雑言を浴びせて、会うこともせずに告白に来てくれた女子を追い返してしまいました。
ですが、実はその告白に来てくれた女子が、何と私が恋焦がれたMさんだったのです。そのことを知って、私は茫然自失となってしまいました。
普通だったら誤解を解くために会いに行って誠心誠意謝るのがせめてもの罪滅ぼしでしょうが、私はそれができませんでした。Mさんに会うのが怖かったということもありますが、どうしていいのかが分からなかったのが本音でした。年齢を重ね、今なら躊躇なくできることも、哀しいかな、その時はできませんでした。
渚ゆう子さんの京都慕情という曲がありますが、この曲を聞くたびに、あの時を切ない気持ちが蘇ってきます。
田舎町に帰る新幹線に乗るため新大阪に向かうバスで、偶然見かけたMさんの暗く沈んだ顔は、半世紀過ぎた今でも忘れることが出来ません。
ですが、その1年後に再びMさんから告白されるのだから、女心とはいうものはわかりませんね。ただこの時、私は‟OK“の返事をだしたものの、有頂天になって何も行動を起こさなかったのだから、Mさんは呆れかえって、その2日後くらいだったか、みごとに振られてしまいました。
その後、Mさんと私は同じ高校に進学しますが、私は当然でしたが、不思議なことにMさんにも浮いた話は一切聞こえませんでした。時折、Mさんに告白して、撃沈した男子生徒から、私たちの過去の出来事を知ってか知らずか、暴言や嫌がらせを何度か受けたこともありました。
当時のMさんの心理は今となってはわかりません。男女交際に躊躇いがあったのか、それとも私への未練(あればうれしかったのですが)なのか・・・。九州の女性の一途な思いがあったかもしれません。ただたまにどこからか視線を感じ、それを辿ってみるとそこにMさんがいて、しばらくお互いを見つめあうこともたびたびありました。
今振り返ってみると、私とMさんの関係は傍から見てもじれったいものだったと思います。高校を卒業してからは、Mさんとはそれっきりになってしまいました。その後、私は恋愛をするも、Mさんのことを引き摺ってなのか、なかなかうまくいかず、ようやく人並みの恋愛経験を経て、結婚したのは30歳を過ぎた頃でした。
昨年の今ぐらいでしょうか、日本テレビ系列の静岡第一テレビで日曜の夜の10時半から安藤サクラさん主演のドラマが放映されていました。その内容は若くして亡くなった独身女性が次に生まれ変われるのが人間でないと知り、人間に生まれ変われるため再度自分の人生をやり直すという、お笑い芸人のバカリズムさんが脚本を担当したヒューマン・コメディでした。
私ももし生まれ変わり、人生をやり直すことが出来るなら、やはり中学校2年生の時の修学旅行の京都の夜のことをやり直したいと思います。もしあの夜、素直にMさんの告白を受けていたら、あの後、私とMさんは一体どうなっていったのでしょうねえ?そんな淡い妄想を胸に抱きつつ、今日も静岡の夜は更けていきます。
参照:Wikipedia ブラッシュアップライフ
日テレ 日曜ドラマ『ブラッシュアップライフ』
写真:無料写真素材 写真AC 夕日に染まる八坂の塔「京都観光」 TAKASANshot
お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
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