秋晴れの気持ちのいい一日、昨日は久しぶりに平日にお休みをいただいたので、しばらくほったらかしにしていた通帳の記帳をしに静岡に出かけようと思い立ちました。
私は就職時に給与振り込みの銀行口座を都銀にしていました。そのため今でもメインの銀行は都銀であり、公共料金の支払いからクレジットの支払いをその都銀で行っています。ただ大概の都銀は静岡県内では静岡市と浜松市にしか支店はなく、その都銀もご多分に漏れずそうで、そのため私は記帳をするために何ヶ月に一度静岡市に出向いています。
その都銀ですが、静岡駅から約1.5㌔ほどの距離があり、自宅から車で行くにも道が複雑でしかも駐車場が狭いこと、そして何より私自身が方向音痴なこともあり、私は静岡駅の駐車場に車を駐めて、そこから都銀までテクテク歩くことにしています。
しかし私が就職したときは13行もあった都銀は、30年以上過ぎた今では、吸収や合併・統合、それに破綻などを繰り返し、たったの4行しかありません。企業の栄枯盛衰は世の習わしとは言いますが、時代の儚さを感じます。
私が就職したのはちょうどバブル前夜であり、就職先も売り手市場が続いていました。(ただ私は売り手市場だったのにも係わらず、就職にはかなり苦戦しました。)今はどうだかわかりませんが、当時は企業の「青田買い」や「囲い込み」それに「過剰な接待」なんかは当たり前のように行われていました。
OB訪問したらいきなり高級レストランに連れて行かれたり、請求した交通費は言い値で貰えたり、当時できたばかりの東京ディズニーランドに招待されたり、内定したら風俗店に連れて行かれたり、内定者を拘束するために交通の便の悪いところの監禁されたり、その拘束先から内定者を解放するために別の内定先からレスキュー部隊が出動したり、内定先に辞退を告げたらいきなり顔にコーヒーをかけられたりとか、当時は嘘か本当かわからない話がまことしやかに語られたものでしたし、企業の対応に便乗してただ飯・ただ酒を喰らう不埒な学生もいました。
こう言った噂話は当時花形だった都銀や証券会社に多かったように思います。私の大学の先輩や同級生の中にも都銀や証券会社に入社した人もいました。こうした人たちはやはり成績も優秀でしたし、人柄とかコミュニケーション能力にも優れていて、リーダーシップを如何なく発揮できる人、いわゆる世間でエリートと呼ばれる人が多かったように思います。
あれから30年以上たった今、バブル崩壊に始まる不良債権の処理のために多くの金融機関は破産や吸収合併を余儀なくされました。当時一流企業の象徴とされた都銀や証券会社も例外ではなく、今では都銀は4行、かつて4大証券といわれた証券会社も山一証券は破綻し、日興證券も今では外資系のグループ企業になっています。
これらの企業に勤めていた先輩や同級生たち、今頃どうしているか気になります。私は交友関係があまり広くなく、彼等とは大学を卒業後はほとんど連絡を取っていません。それでも金融機関が冬の時代に入り、ニュースで見知った会社名が出てくると、その会社に入社した同級生や先輩の顔が目に浮かんできます。
ちょうど私たちの世代は60歳の定年を迎える時期になっています。彼らが激動の時期を乗り越え、平穏無事な日々を送っていることを願うばかりです。
都銀からの帰り道、またも栄枯盛衰を目の当たりにしました。小説でも買おうかと静岡駅前の葵タワーにある戸田書店静岡本店に行こうと思いました。行ってみて吃驚!!戸田書店静岡本店は今年の7月末に閉店していました。
戸田書店静岡本店は静岡駅の再開発事業の一環として建設された静岡市内で一番高いビルディングである葵タワー内に2010年3月にオープンしました。戸田書店静岡本店は地上2階、地下1階の売り場面積は4,478㎡と静岡県内最大の書店であり、所蔵する書籍は約60万冊、専門書を始め豊富な品揃え、創意工夫された陳列、加えて葵タワー3階にある静岡市美術館と共に静岡の文化の発信基地として多くの市民や県民から親しまれてきました。
しかし出版業界は時代の波に逆らえず、活字離れや近年のネット通販や電子書籍の普及もあり、県内には8年前の2012年には350店舗あった書店も今では210店舗と4割も減少しており、それは県内大手の戸田書店も例外ではありませんでした。さらに2011年10月には徒歩圏内にある新静岡駅に開業した大規模商業施設の新静岡セノバ内に戸田書店が業務提携した丸善ジュンク堂書店の「MARUZEN & ジュンク堂書店」新静岡店が開店したことも逆風となりました。
葵タワーでは戸田書店静岡本店の後任の店舗はまだ決まっていないらしく、しばらくは残った店舗で営業を続けるようです。そういえば藤枝駅の複合商業ビルBiVi藤枝も1階にはテナントが入ったり出たりを繰り返しており、また藤枝駅南口前にあったスーパーのアピタ藤枝店の後任店舗が長い間決まらなかったこともあり、駅前という立地条件の良さにも関わらず商業施設が空洞化していることから、現在の小売業の置かれた状況の厳しさを感じます。
かつては企業が繁栄を謳歌できるのは約30年と言われていました。今ではそれがさらに短くなって来ていると謂われています。私が社会人生活を始めて30年以上の月日が流れました。その間技術革新が進み、社会情勢も様々な変化がありました。さらにAI技術の発達により、これから来る未来はさらなる劇的な変化があると考えられます。
就職活動はあまりうまくいったとは言えず、また苦労して入った会社でも周りからダメ人間の烙印を押されている私ですが、幸運なことに社会人となってからは勤め先の衰退を見ることはありませんでした。そう思うと、学生時代にエリートと呼ばれていた人たちの勤め先が倒産や吸収合併で没落していったことを考えると、何だか複雑な思いがした・・・・、そんな一日でした。
都商研ニュース 2020年7月9日
戸田書店静岡本店、2020年7月26日閉店-静岡最大の書店、葵タワーの核店舗
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お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
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