今週のお題「卒業」
3月も残りあと僅か、もうすぐ新年度が始まります。陽気も穏やかで、日中は汗ばむくらいの気温ですが、夜になると冷え込み、先日は夜遅く帰るとき、車のフロントガラスが凍結していました。今週、来週と遅番続きなので寒がりの私にはこの冷え込みには正直まいっています。
この時期なると桜の便りがちらほらと聞こえてきます。静岡は22日に開花が宣言され、近くの蓮華寺池公園では、今現在、見た感じ3分咲き程度、満開が待ち遠し限りです。私が子供の頃ぐらいは、桜は入学式とほぼ同じ時期に咲いていたように思います。‘父母の手をひかれ、くぐった校門’、こんな言葉を卒業式の答辞や卒業文集に書いた記憶があります。今では桜はその卒業式あたりに花を咲かせます。桜の開花もこの40年余りで随分早くなったものです。
卒業と言えば、去る19日に息子の通う小学校で卒業式があり、息子も無事卒業することができました。息子は3歳近くになっても片言しか言葉を話すことができず、心配した嫁が当時住んでいた福島市の児童相談所や福島県立医大に行き、そこで「自閉症」の 疑いがあると診断されました。そこから今日までこの病気と向き合っているわけですが、この病気は完治できないと言われているので、これからも一生、私たち家族が 命尽きるまで(ちょっとオーバーですが・・・)この難しい問題に立ち向かっていくことになると思います。
息子は福島市で1年、藤枝市に転校して5年間小学校生活をおくりました。その間通級指導といって、普通学級にいながら個別的な特別支援教育も受けてきました。また毎月1回近くの精神科に通い、心のケアも怠りなくやってきました。これらはすべて嫁が教育機関や病院などで単独で調べあげたもので、やはり子を思う母の気持ちは強いのでしょうね、その熱意には頭が下がります。
思えばこの子が生まれたのは私が40代になったばかりの頃、中間管理職として仕事に追われていた時期で、仕事がうまくいってないこともあり夫婦関係も最悪でした。会話がない生活が何年も続きましたが、それでも嫁との関係が破綻しなかったのは、この子の存在が大きかったと思います。この子を何とかしなければという気持ちが切れかけた糸を辛うじて結びつけたのでしょう。今では仕事も閑職になったこともあり、夫婦関係も世間並みになったと思いますが・・・。
自閉症とは、発達障害のなかの広汎性発達障害の一種とされ、生まれつき脳の機能がうまく働かないのが原因とされています。広汎性発達障害とは、社会性やコミュニケーション能力の獲得など人としての基本的な機能の発達の遅れがみられる障害を言うそうです。息子の場合は以下の特徴があります。
・気持ちの切り替えがうまくできず、ちょっと失敗すると何時間も落ち込む
・テストで1つでも間違えると我慢できず、100点でないと満足できない
・学校のルールに厳格で、なあなあは絶対に許せない
・人間関係の距離が理解できず、親しくない人にべたべたと接し敬遠される
・偏食が激しく、気に入ったものしか食べない
・やり方や手順に「こだわり」が強すぎる
・人の話を最後まで聞くことができない
・突然奇異な行動をする、街中で大声で歌いだす、とか
・整理整頓ができない
・勝ち負けに異常にこだわる
息子は「自閉症の疑いがある」と判断された時は、知能レベルの遅れが普通の子供と2歳くらいの開きがありましたが、嫁の献身的な努力のおかげで、現在ではほぼ同レベルかそれ以上の知的レベル(IQは120くらいと診断されています)にあると思われます。この事と上記のことを鑑みると、息子は「自閉症」というよりは、同じ広汎性発達障害の「アスペルガー症候群(知的障害を伴わないもののコミュニケーションや社会性に問題行動が目立つもの)」ではないかと思っております。いずれにせよ発達障害には変わりはありませんが、症状を精査することで、対症法も変わってきますし、それにより息子が少しでも普通の子供に近づけていけたらと切に願っております。
息子の症状がわかったとき、親の育て方が悪かったとか夫婦関係が険悪だったからとお互いや自分を責めたりしました。しかし専門書やネットで調べ、勉強した結果、「自閉症」や「アスぺルガー症候群」は生まれつき脳の機能がうまく働かない障害だとわかり、正直安堵しました。
ただこれらの病気は先天性の面、すなわち遺伝による要素が大きいということで、うすうすは気付いていたのですが、私自身が息子ほど酷くはないにしろ「自閉症」もしくは「アスペルガー症候群」だと思います。病院に通院したり、専門医に相談したわけではないので100%とそうだとは言い切れませんが、「集団の中で浮いてしまったり」、「人とうまく付き合えなかったり」、「人の気持ちが理解できなかったり」、と実際に職場で適応障害を起こしているのでほぼ間違いはないでしょう。まあ50を過ぎたので、この症状を直すことは不可能だし、直そうとも思いませんが、ただ息子にはこんな父親で申し訳ないという心痛たる思いがあります。
息子のような変わった子供は、いじめの対象になるのですが、有り難いことに福島でも藤枝でも息子がいじめられることはありませんでした。(時々子供同士の小競り合いで泣かされたことはあったようですが・・・)これは嫁が息子の症状を学校にしっかり説明し、学校関係者と強力なタッグを組み、ちょっとでも問題があるとすぐさま学校に行っていたこともありますが、やはり担任になった先生方の暖かい支援があったこそだと思います。優しさと厳しさの両面を持って接してくれた先生方には、大変お世話になり感謝しきっても足りません。問題行動の多い子供でしたが、それでも見捨てることなく、ご指導してくださった先生方、本当にありがとうございました。
周りの子供たちも「自閉症」とか難しいことはわからなかったけど、息子が他の子供とかなり違い、保護されるべき存在で(という表現が正しいかわかりませんが)そういった子供として接しなければいけないと理解していたと思います。こういったことは一長一短にできることではなく、やはり福島にしろ藤枝にしろ、健全な教育環境と人間味のあふれる優れた先生方が揃っていたおかげです。その意味では私たちはとても恵まれていたと痛感しています。
4月から中学生になる息子ですが、今度この子が入学する中学校は支援学級はありませんし、学力のレベルも少し高いようです。この子の進路については悩みましたが、やはり普通の子供とは違っているにせよ、今までの恵まれた環境から、ある程度は厳しい環境に身を置いてみることで、この子に最小限の社会性を身に着けさせ、大人になってから何とか社会と適合できるようにと考えた末の決断です。それが吉と出るか凶と出るかはわかりませんが、息子の心の成長を信じて、静かに見守っていきたいと今は思っております。
息子のことを書いた過去の記事も貼っておきました。
参照:Wikipedia 自閉症、広汎性発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)
アスベルガー症候群
四谷学院 療育・特別支援 療育55段階プログラム
こんな恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
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蓮華寺池公園の桜