6月もすでに中盤、2015年も半分が過ぎたことになるのですね。月並みですが、月日が経つのは早いもの・・・。
先日、はてなダイアリー(タイトル名:Kitajskaya’s Raccomandazione)の記事を書くために駅前の図書館に行ってきましたが、ついでに何冊かタイトルが面白そうなものを借りてきました。その中の一つ、管理栄養士の幕内秀夫さんという方が書かれた‘東海道五十三次「食」ウォーキング’、この本に藤枝名物の「瀬戸の染飯(せとのそめいい)」というものが紹介されていました。
東海道五十三次「食」ウォーキング──健脚を支える健康食のヒミツ (講談社+α新書)
- 作者: 幕内秀夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/05/21
- メディア: 新書
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私は藤枝市に越して5年ほど経つのですが、恥ずかしながらこの「瀬戸の染飯」を知りませんでした。嫁に聞くと「正確な名前は知らないが、蓮華寺池公園の「藤まつり」で売られていた黄色に染まったおむすびで、嫁の両親が遊びに来た時よく食べていた」との事。「そういえばあったなあ。」と思いつつ、昨日は仕事が休みだったので「瀬戸の染飯」について詳しく調べてみることにしました。
「瀬戸の染飯」の瀬戸は現在の藤枝市の内瀬戸(うちせと)から上青島(かみあおじま)辺りで、東海道藤枝宿から島田宿へ向かうちょうど中間あたりとされています。江戸時代中期まで瀬戸は東海道の立場(たてば、宿場と宿場の間に休憩場所として設けられたものを言います。立場には茶店などが設けられており、「峠の茶屋」も立場の一種とされています。)とされていました。この地域では昔から糯米を蒸した強飯(こわいい)を梔子(くちなし)の実で黄色く染めた染飯を晴れの日に食べていました。梔子は消炎・解熱・鎮痛・利尿などの薬効があるとされ、東海道を行き交う旅人にとって疲労回復の食べ物として評判が良かったそうです。
「瀬戸の染飯」は戦国時代くらいから東海道沿いの茶店で売られ始めたとされていて、1553年(天文22年)の紀行文「参詣道中日記」や1596~1615年(慶長年間)の「信長公記」にもその名が記されています。また十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも「焼き物の名にあう瀬戸の名物は さてこそ米も染め付けにして」と紹介されています。
当時は強飯を梔子の実で染めた染飯を摺りつぶし、小判の形などに薄く延ばして干して乾かし、柏の葉に包んで売られていたようです。染飯の黄色と柏の葉の青、その美しいコントラストに西国行脚の道中の小林一茶は「染飯や 我々しきが 青柏」と一句詠んだとか。
瀬戸の立場があった辺りに「千貫堤・瀬戸染飯伝承館(せんがんづつみ・せとそめいいでんしょうかん)」という博物館がありました。この伝承館、博物館としてはあまり小さく大体6畳2間くらいの広さ、そこに「瀬戸の染飯」と市指定の史跡の「千貫堤」を中心とした展示物が飾られています。 私が訪れた時には同年輩の男性の方がガイドをされていました。聞けば、近所の町内会の人とのこと。当番でボランティアのガイドをやられているそうです。
瀬戸の染飯
写真の映りはよくありませんが、下の写真は染飯を柏の葉で包んだもののレプリカです。
柏の葉と染飯(レプリカ)
ちなみに「千貫堤」とは、江戸時代の初期の寛永年間、大井川の氾濫から田中藩の領内の村々を守るために築かれた堤防で、千貫もの膨大な費用がかかったことから、この名称が付けられたと伝えられています。(残念ながら現在の貨幣価値はわかりませんでした。)堤の規模は全長500㍍強、幅32㍍、高さ3.6㍍ほどだと推定されています。明治以降の東海道線の敷設や田畑の開墾、また戦後の宅地開発により千貫堤は大部分が消滅し、現存するものは東海道線のすぐ北側の長さ65㍍、幅30㍍の部分だけとなっています。
さてこの「瀬戸の染飯」ですが、藤枝駅前の「喜久屋」さんで購入できます。現在の「染飯」は梔子で黄色く染めた三角おむすびの強飯で、梔子の香りはほとんどしませんが、塩の加減も良く美味でした。(染飯弁当は税込700円で、前日予約が必要です。おむすび2個の染飯もあります。こちらは税込260円でした。)
喜久屋さんの染飯弁当
藤枝の食文化には「朝ラー」もあります。「朝ラー」について書いた記事を紹介します。読んでいただけたらうれしいです。
参照:幕内秀夫 東海道五十三次「食」ウォーキング 講談社新書
千貫堤・瀬戸染飯伝承館 瀬戸周辺マップ(案内パンフレット)
藤枝市観光協会オフィシャルサイト 藤枝市観光ガイド 千貫堤・瀬戸染飯伝承館
静岡観光旬情報 ハロナビブログ 瀬戸の染飯
お弁当・仕出し・お寿司の喜久屋 弥次さん喜多さんも食べた 瀬戸の染飯
Wikipedia 立場、間の宿
こんな恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
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