10日の記事の続編です。今回はウルトラマンにかかわった人物に注目してみます。
ウルトラマンは全39話放映されていますが、そのうち前半にあたる第1話から第19話までのナレーションは俳優の石坂浩二さんが担当されています。石坂さんは前作の「ウルトラQ」にもナレーションを務めていますが、そもそも石坂さんがウルトラシリーズに出演するきっかけとなったのは、円谷プロの二代目社長でTBSの看板ディレクターだった円谷一(つぶらやはじめ)さんが監督したドラマに石坂さんが出演したことでした。当時ウルトラQに出演し、後にウルトラマンでフジアキコ隊員を演じた桜井浩子さんが個人的に親しかったことからスカウトされたそうです。ウルトラマンに出演された時、石坂さんは慶應義塾大学の学生、学生とは思えない落ち着きのある独特なナレーションでテレビを視ている人を魅了しました。ちょっと脱線しますが、石坂さんと小泉元総理は大学の同級生らしいですね。意外・・・・。
石坂さんの後任のナレーターはアニメ「ポパイ」で主人公のポパイの声を担当していた浦野光さん。浦野さんは最終回でM78星雲・光の国の宇宙警備隊長ゾフィーの声も担当しています。浦野さんも石坂さん同様に落ち着いて淡々としたナレーションでしたが、ポパイのアップテンポな声とギャップに、本当に同じ人の声?と子供ながらに思っていました。なお浦野さんは次回作「ウルトラセブン」でもナレーションを務めています。余談ですが、下の写真のメフィラス星人の声を演じたのはアニメ「巨人の星」で主人公“星飛雄馬”の父親“星一徹 ”の声の加藤精三さんでした。
ウルトラマンのキャストは以下の通りでした。
- ムラマツ隊長:小林 昭二
- ハヤタ隊員:黒部 進
- アラシ隊員:石井 伊吉(毒蝮三太夫)
- イデ隊員:二瓶 正也
- フジ・アキコ隊員:桜井 浩子
- ホシノ・イサム少年:津沢 彰秀
- 岩本博士:平田 昭彦
- ウルトラマン:古谷 敏
- ナレーター:石坂 浩二(第1 --19話)、浦野 光(第20-39話)
ムラマツ隊長を演じた小林昭二さん、ドラマでは厳しくも頼りがいのある役柄でしたが、撮影現場でも若い俳優さんたちのまとめ役だったそうです。本番でふざけていても常に小林さんが引き締めてくれていたそうです。声優としてジョン・ウェインの吹き替えを担当されていたこともあり、アフレコのタイミングを指導するなど若い俳優さんにとっては普段もドラマ同様に「キャップ」と呼ばれ慕われる存在でした。
小林さんと言えば、仮面ライダーの立花藤兵衛(おやじさん)役でも有名です。このキャスティングは、「ウルトラマン」終了後と東映制作の次回作「キャプテンウルトラ」の番組引継ぎパーティーが行われた際に、小林さんの子供番組に対する真摯な姿勢に深く感銘を受けた当時の東映プロデューサーだった平山亨さんの発案だそうです。
ウルトラマンに変身するハヤタ隊員を演じた黒部進さんは、中央大学在学中に生活費に困って靴磨きのアルバイトをしていたところを、スカウトされて俳優にデビューした経歴があります。「黒部進」というのは芸名ですが、黒部さんが富山県黒部市出身だったことで命名されたそうです。ウルトラマン撮影当初は生まれ故郷の富山訛りがなかなか抜けず、ムラマツ隊長役の小林さんから度々指導を受けたそうです。
黒部さんの娘の吉本多香美さんも女優として活躍されており、「ウルトラマンティガ」のレナ隊員役に決まった時は喜びも一入だったそうです。2人は2008年には劇場版「大決戦!超ウルトラ8兄弟」で親子役として共演をしています。黒部さんと吉本さん親子はCMでも共演されていますが、娘の吉本さんの方がお父さんの黒部さんよりギャラが高かったそうで、このときはさすがの黒部さんもがっかりされたそうです。
科学特捜隊で豪放磊落なアラシ隊員を演じた毒蝮三太夫(当時は石井伊吉)さん、その明るさから子供たちの人気者になり、次回作のウルトラセブンのフルハシ隊員役で同じような役柄を演じています。毒蝮さんはウルトラマン放映時に日本テレビの「笑点」の2代目座布団運びとして石井伊吉の名前で登場していましたが、「正義の味方が座布団運びをやっている」という苦情がTBSに入り、芸名を付けようという運びになり立川談志さんが命名され、今の芸名になったそうです。
科学特捜隊でコミカルなキャラのイデ隊員を演じた二瓶正也さん、当初はこの役を別の俳優さんがやる予定でしたが、諸般の事情により急遽二瓶さんになったそうです。二瓶さんはその後も円谷プロの作品に数多く出演しています。ちなみに元フジテレビアナウンサーの露木茂さんは二瓶さんの中学時代の同級生だとか・・・。
前作「ウルトラQ」のカメラマン役に引き続き「ウルトラマン」でも科学特捜隊の紅一点フジアキコ隊員を演じたのが桜井浩子さんは、当時の怪獣好きの少年たちの憧れのの的だったとともに、日本における特撮ヒーロー番組のヒロインの先駆けともなりました。桜井さんイタリア映画のアイドル“ジャクリーヌ・ササール”に似た美貌を買われ、中学卒業と同時に東宝に入社しています。それ美しさ故にウルトラマンの脚本家や監督の創作意欲を掻き立てたようで、真珠を食べる怪獣ガマクジラに対抗する女性やメフィラス星人によって巨大化した姿など様々なフジ隊員がドラマに登場しています。
桜井さんはウルトラセブン、ウルトラマンレオなど第二次ウルトラシリーズにもゲスト出演され、平成になってもウルトラシリーズにも数多く出演しています。2005年のウルトラマンマックスではハヤタ役の黒部進さんとレギュラー共演しています。また現在では円谷プロのプロデュサーとしても活躍されています。
ウルトラマンのスーツアクターとして活躍したのは古谷敏さん。古谷さんはウルトラQのケムール人のスーツに入って出演、その姿を見たデザイナーの成田亨さんに気に入られ、ウルトラマンを演じることになったそうです。次作のウルトラセブンではスーツアクターの労を労う意味でアマギ隊員役に抜擢されています。
次にウルトラマンのを作った人たち、脚本家や監督について書きたいと思います。
ウルトラシリーズに当初から参加し、その栄光を築き上げた人に円谷一さんがいます。円谷さんは特撮の神様と言われた円谷英二さんの長男。学習院大学在学中に英二さんが特殊技術を担当した東宝映画「ゴジラ」の制作に参加したことが映像に携わるきっかけとなり、大学卒業と同時にTBSに入社。TBSで数々のドラマを作成し高い評価を得ます。
1963年にTBSが映画部を設立すると、飯島敏宏さんらと参加、TBS初の特撮テレビ映画「ウルトラQ」の制作にあたり、引き続き「ウルトラマン」「ウルトラセブン」では監督も務めます。ウルトラマンでは第1話と最終話を含む8本の作品を監督、クオリティの高い作品を作り上げています。能力のある若手を発掘しており、当時奇抜な演出でTBS内で干されていた実相寺昭雄さんを拾ったのも一さんでした。
ただ晩年は不遇だったようで、1970年に亡くなった英二氏の後を継ぎ、円谷プロの二代目社長に就任しますが、財政的に危機あった同社を立て直すため、孤軍奮闘。無理が祟ったのか、英二さんが亡くなって3年も経たないうちに若干39歳の若さで亡くなっています。
斬新な演出や映像表現でウルトラマンや後に続くウルトラセブンの作品の世界を広げたのが、先述した実相寺昭雄さん。実相寺さんはウルトラマンでは脚本家の佐々木守さんとコンビを組んで活躍し、監督した6本の作品すべて佐々木さんの脚本です。
実相寺さんと佐々木さんのコンビは、ウルトラマンが得意技である光線を使わない、地球人の都合で怪獣を倒していいのかということをテーマにするなど、ウルトラマンの他の監督らの演出とは違った側面から作品を作り上げています。その象徴となるのが、第23話の「故郷は地球」。当時の冷戦を背景に、大国のエゴにより犠牲になる人間を描いています。実相寺さんはこの作品を大変に気に入っており、後に「ぼくはウルトラマンに対する共感というものはなかった。ぼくはむしろジャミラの側だった。(Wikipedia-実相寺昭雄 円谷プロ、ウルトラシリーズにおけるエピソードより引用」と述べています。この回に登場する彗星怪獣ジャミラ、これはアルジェリア独立運動の志士、ジャミラ・プーパシャに由来するそうです。
実相寺さんは映像表現も斬新的で、斜めからのアングルや、物体や人物越しに対象物を撮影する「なめ」の手法、広角・超ワイドレンズを使い画面が歪むほどの近づいた撮影、照明を極端に落とした撮影など奇抜な発想を行い当時の視聴者のみならず映像関係者に強烈なインパクトを与えました。これは当時フランスで隆盛を誇っていたヌーベルバーグの巨匠“フランソワ・トリフォー監督の影響を多分に受けたもので、そういった前衛的な考えは当時勤務されていたTBSには理解されず、不評を囲っていたようです。これは俳優陣も同様で、フジアキコ隊員やくの桜井さんは実相寺さんの独特なカメラワークに納得できずかなりキレていたようですが、その都度ムラマツ隊長役の小林さんから「実相寺は才能があるから我慢してくれ」と言われ渋々納得されたとか・・・。
実相寺さんはウルトラシリーズのみならず、映画監督や演出家、脚本家として活躍されますが、惜しいことに2006年に胃癌のために69歳で亡くなられています。
ウルトラマンの特技監督として、多くの作品を手がけた高野宏一さんは、円谷英二さんの二男で円谷プロの3代社長に就任された円谷皐(つぶらやのぼる)さんと同級生だった縁からゴジラの映画にスタッフとして参加します。後に円谷プロに入社しウルトラマンの特技監督として活躍されますが、右手の握り拳を突き出したウルトラマンの登場シーンを考案したのが高野さん。背景にドライアイスを用い、三段階によって撮影されたそうです。また表情のないウルトラマンに喜怒哀楽を表現するために能の要素を取り入れたといわれています。
50年の長きにわたり、今なお人気を誇るウルトラマン。これほど長い間人気を博していたのは当時のスタッフや俳優さんたちの情熱、様々な人たちの英知を振り絞った結果だと思います。これほどまでの凄い作品はもう見ることができないかもしれませんが、ウルトラシリーズは現在も放映されています。ウルトラシリーズの灯を消さないためにも、今の制作スタッフ、若い俳優さんには是非とも頑張ってもらいたいものです。
出身:M78星雲 光の国(ウルトラの星)
年齢:推定2万歳
身長:40m
体重:3万5千t
能力:飛行速度~大気圏内ではマッハ5、宇宙空間でも飛行可能
水中潜航速度~200ノット
走行速度~時速450㎞
瞬発力~800mまで一跳びで跳躍
体感温度~数千℃の高熱に耐久
光線技:スペシウム光線~50万℃の高熱と50万馬力の破壊力
ウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)
ウルトラアタック光線
スラッシュ光線
キャッチ・リング
ウルトラアイスポット
透視光線
ウルトラエアキャッチ
リバウンド光線
フランス・パリに総本部を持つ国際科学警察機構。正式名称は「科学特別捜査隊」
ニューヨークをはじめ、世界に9か所に支部がある。日本支部は東京郊外に設置。
協力機関:科学センター、宇宙科学研究所
マシン:ジェットビートル~全長18.5m、速度マッハ2.2、乗員6名
怪獣攻撃用ミサイル、ナパーム弾、冷却弾などを装備
宇宙航行も可能
小型ビートル~全長15.5m、速度マッハ1.5、乗員2名
科特隊専用車~全長4.9m、最高時速190㎞、乗員5名
ベルシダー~全長7m、最高速度20km(地中)、乗員3名
特殊潜航艇S号~全長9m、最高速度20ノット(水中)、乗員5名
武器:スーパーガン~全隊員が携帯する小型光線銃
スパイダーショット~高出力エネルギーを瞬時に放射
過去に記述したウルトラマン関連の記事です。
ウルトラマンより ~科特隊のテーマ~ ~科特隊帰還ウルトラマン2のテーマ~ 音楽:宮内國郎 高音質
参照:Wikipedia 石坂浩二、ウルトラマン、実相寺昭雄、小林昭二、黒部進、
毒蝮三太夫、二瓶正也、桜井浩子、古谷敏、浦野光、円谷一、ジャミラ
ジャミラ・プーパシャ、高野宏一
ウルトラマン オフィシャル データ ファイル
トピックインフォメーション SERIES2 ウルトラマン
SERIES1 ウルトラQ
防衛隊ファイル 科学特捜隊、ジェットビートル
スポーツ報知 ウルトラマン特別号
写真:無料写真AC 地球と輝き まんだむ
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